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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

将来の子供の学費や老後の資金のために取り組むべきことは?実態が見えないが故の漠然とした不安の解消法

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2023.07.15 執筆者:和仁 達也

実態が正しくつかめていない中で、不安な気持ちを起点に判断すると、
うまくいかないことがあります。

たとえば、「相手の不安な気持ちを利用して、
高額な粗悪品を売りつける悪徳業者に騙される」ように。

将来の不安がよぎった時には、反応的に動くのではなく、
まずやっておきたいことがある。その一例を、
歯科医院を舞台に紹介します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

加藤院長は院長室で思い悩んでいた。
ここ数ヶ月の売上の低迷からくる、将来の見通しへの不安だったからだ。

1人で考えていても気持ちがネガティブになるので、
キャッシュフローコーチの和仁に相談することにした。

「実はこの3ヶ月ほど売上が目標未達を続けていて、
急遽借入を打診したんです。

幸い銀行からは予定通りの金額を融資してもらえたのですが、
この状況がずっと続くんじゃないかと不安になっちゃいまして。

うちの子供がまだ小学生でこれから学費もかかるし、
私の引退後の生活費も今のうちに貯めておかなければ
いけないと思います。

そんな中で、医院の業績が目標を割り込んでいるのを見ると、
本当にこのままで良いのかと不安になりまして。

ちょうど知り合いの紹介で保険の営業の方と
お会いしていろいろ提案されたので、
それも考えてみようかと思っているのです。」

一通り話を聞くと、キャッシュフローコーチは答えた。

「なるほど、加藤院長の今の状況を聞いていて、
わたしが思い出したことがあります。

それは以前、東北の大震災の際に放射能問題で
国内全体が不安に駆られて、世の中は自粛ムードになり、
飲食店を中心に軒並み休業したり電飾を控えて
街中が真っ暗になったりしましたよね。

そのことの是非はさておいて、しばらく経ってみれば
『あれは行き過ぎだったんじゃないか』
と言う人もいたりしたわけですが、このような事は
様々な場面で見られることです。

そして、今回の加藤院長のご相談も
根本的にこれと通じるところがあるとわたしは感じるんです。

そこで質問です。

これらの現象に共通する要因が1つあるのですが、
何だと思いますか?」

加藤院長はしばらく考えて答えた。

「う〜ん、実態が見えないが故の、
漠然とした不安に襲われているのですかね」

キャッシュフローコーチはにっこり微笑んで答えた。

「さすがですね!そうです。つまり、
『実態を正しく把握できていないと、
人は過剰に反応してしまいがち』ということです。

そして
『反応による判断は、時に間違えることがある』
ので要注意です。

今回のケースも、加藤院長が保険を活用すること自体は
問題だとは思いません。

ただ、その動機が気になります。

実態を正しく把握しているのか、どうか。

この場合の実態とは、加藤院長の将来のライフプランのことです。

何年後にお子さんが進学して、卒業、就職、マイホームの購入、
引退後の生活などを踏まえて、
何年にいくらのお金の出入りがあり、貯金が見込めているか。

また、どの時期にいくらくらいお金が不足しそうなのか。

ざっくりとでも把握できていますか?」

加藤院長は首を横に振った。キャッシュフローコーチは続けた。

「その実態を把握しないままに、
保険の専門家に相談したら、どうなると思いますか?」

加藤院長は苦々しい表情で答えた。

「保険の営業マンの提案を根拠もなく受け入れて、
申し込んでしまうでしょうね」

「そうかも知れませんね。主導権は保険の営業マンに渡り、
それに依存する形で話が進むのではないでしょうか?

もちろん、相手が優秀で信頼できる人であれば、
それでも納得の判断に導いてもらえる可能性もあります。
ただ、それは相手次第なわけですよね」

そこでキャッシュフローコーチは、
簡単なライフプランの作り方をレクチャーすることにした。

<ライフプラン策定5つのステップ>

1・横軸に西暦を1年ごとに並べて、
その下に自分と家族の年齢を書き添える。

2・縦軸には、上半分に「仕事上のビジネスイベント」を、
下半分には「家庭面のライブイベント」のスペースをとる。

3・ビジネスイベントには、業績予測やスタッフ数やチェア数、
医院の拡張や移転、分院展開などのお金が大きく動く要素を書き出す。

4・ライブイベントには、家族の年齢に伴う進学や卒業や独立、
本人の引退やセカンドキャリアなどに伴い、
お金が大きく動く要素を書き出す。

5・一通りかけたら、それによって、手元の資産や負債、
そしてその差し引きした実質の資産が各年にいくらなのかを
表示して、「生涯を通して、お金が回り続けるために、
いつ、いくらの資金調達が必要になるか?」を知る。

キャッシュフローコーチはここまで解説すると、話を続けた。

「ここまでをA3サイズの紙に書き出して、
それを見せながら専門家に相談するというのはどうでしょうか?

もちろん、このライフプランをつくるのも、
わたしがサポートできるので、ご安心くださいね。
これを一人で考えるのはそれなりに負荷がかかるので。

また、プランは悲観値と楽観値の2パターンあった方が、
より考えやすいと思います。

来週のわたしとの定例ミーティングの中で、
2時間ほどをその作成に当てるのはいかがでしょうか?」

院長の表情がパッと明るくなり、大きくうなずいた。

「それは助かります!ぜひお願いします」

「わかりました。ところで、今日のお話のポイントを整理しますね。
それは、納得の判断をする秘訣は、

『不安を起点に動くのではなく、自分なりの根拠を起点に動く』

ということです。そのことに気づく良いきっかけにもなりましたね」

 

【今回のレッスン】

◎実態を正しく把握できていないと、人は過剰に
反応してしまいがち。そして、反応による判断は、
時に間違えることがある。

◎納得の判断をする秘訣は、
『不安を起点に動くのではなく、自分なりの根拠を起点に動く』こと。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎不安で動けない時は、不安の正体を言語化する。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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