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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

会社のステージが”攻め”から”守り”に移行するタイミングを見逃すな! “規模の拡大”から“質と関係性の向上”にスムーズに移行するコツ

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2024.05.15 執筆者:和仁 達也

それまで順調に発展していた会社が、最近停滞していると感じるタイミングがあります。
それは、社員の定着率の悪化や顧客の離脱、収入の伸びの低下などとして現れます。
そんな時にチェックしておきたいのは、会社のステージが今どこか、という点です。
歯科医院の事例ストーリーを紹介します。

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加藤院長は開業以来、持ち前のバイタリティと高い技術力、
そして患者の意図をくみ取る高度なコミュニケーション力を強みに、
右肩上がりに発展してきた。
今では、チェア8台でスタッフは12人、売上は1億円を超える状態になった。

開業当初にイメージしていた水準に到達した加藤院長は、
その達成感を味わいつつも、一方では漠然とした不安も抱えていた。

それは「これまで攻めの一手で医院を経営してきたが、
そろそろ守りも固めていく時期なのではないか」という思いだった。

そんな中、知人の紹介でキャッシュフローコーチの和仁と出会い、
月に1回の定例ミーティングを開始。キャッシュフローコーチは
加藤院長が感じている漠然とした不安を聞き出した。

「おかげさまで今のところ医院は上手くいっていると思っています。
患者数は計画通りに増えていますし、スタッフもよくやってくれています。
院内の雰囲気も悪くない。これまでネット広告とか特別なマーケティング策は
何もしてきませんでしたが、患者さんの口コミ中心でここまで
広がったことも、良い患者さんたちに恵まれているおかげだと思います。

ただここに来て、患者さんの途中離脱やクレームがちらほら出てきたり、
スタッフ間で衝突したり不満の声が出てき始めているのが気になっています。

まだその数は少ないのですが、今までそのようなことが
ほとんどなかっただけに、ここは見逃せないと思いまして・・・」

キャッシュフローコーチは医院の状況を一通り確認すると、
取り組みについてヒアリングを始めた。

「なるほど、医院のステージが
 “攻め”から“守り”に移行するタイミングなのかも知れませんね。

そのタイミングで大切なことを、いくつか確認させてください。

ホワイトボードに書き出しますね。それぞれ5点満点で何点くらいになるでしょうか?」

 

1)ミッションや理念、ビジョンなど、医院のあり方を言語化したものはありますか?
2)それは、スタッフとも共有できていますか?
3)毎月、スタッフ全員が集まり、意思疎通できる定例のミーティングはありますか?
4)そのミーティングは、否定や批判される不安のない“安心安全ポジティブな場”ですか?
5)院長が関与せずに、スタッフが別のスタッフを育てる仕組みはありますか?
6)医院の経営状態が「健康的な黒字」か「収支トントン」か「もっとがんばる必要がある厳しいレベル」か、スタッフはざっくり把握できていますか?
7)スタッフは「この医院で、どうがんばれば、どのように報われるか」を理解していますか?

 

加藤院長は、ホワイトボードに書き出された一通りの質問を
しばらく眺めると、1つずつ考えながら答えた。

1)ミッションや理念、ビジョンなど、医院のあり方を言語化したものはありますか?

「これは、開業当初に書いたものがあります。
ただ、それが実際に機能しているか、というと、ちょっと怪しいかも知れません。
5点満点の3点です」

2)それは、スタッフとも共有できていますか?

「正直、開業当初のスタッフは覚えているかも知れませんが、
それ以降は特に言って来なかったので、最近入社したスタッフは
知らないと思います。2点です」

3)毎月、スタッフ全員が集まり、意思疎通できる定例のミーティングはありますか?

「ミーティングは伝えたいことや何か問題があればやりますが、
毎月定例ではやっていません。2点です」

4)そのミーティングは、否定や批判される不安のない“安心安全ポジティブな場”ですか?

「院長の私がほとんどしゃべっていて、スタッフは聞いているだけ
なので、正直スタッフがどう感じているか、
あまり考えたことがありませんでした。もしかしたら、
否定や批判されるのが怖くて黙っている人もいるのかも。3点です」

5)院長が関与せずに、スタッフが別のスタッフを育てる仕組みはありますか?

「先輩が後輩に指導しているようですが、体系立てた仕組みはありません。
スタッフ任せなので、今はそれでも回っていますが、
今後スタッフの入れ替わりがあった場合、クオリティが保てるか、
ちょっと気になります。2点です」

6)医院の経営状態が「健康的な黒字」か「収支トントン」か「もっとがんばる必要がある厳しいレベル」か、スタッフはざっくり把握できていますか?

「今まで経営状況についてはスタッフに話したことがないので、
ほとんど知らないと思います。1点です」

7)スタッフは「この医院で、どうがんばれば、どのように報われるか」を理解していますか?

「物販収入や診療メニューの一部は、収入に連動して手当が付くように
していますので、そこについては、成果に応じて報われる感じだと
思います。ただ、それ以外は正直、あいまいかも知れません。2点です」

加藤院長は、7つの質問に答えながら、
自身の思考整理が進んでいくのを感じていた。

「どうやら、今まで勢いだけで攻めの一手で運営してきましたが、
これからは守りも固めていく必要がありそうです。

点数化することで、それがよくわかりました。
これからの課題がはっきりしたので、具体的な対策を考えていきたいと思います」

検討課題がはっきりした加藤院長とキャッシュフローコーチは、
課題の優先順位づけに話を進めるのだった。

 

【今回のレッスン】

◎患者さんからのクレームやスタッフ同士の問題が起き始めたら、
医院のステージが“攻め”から“守り”に移行するタイミングなのかも知れない。
◎その場合は、7つの視点で自己採点してみよう。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎売上は増えたのに利益は逆に減っている、なんてことがないように!「同時並行的アプローチで利益を倍増させる方法」

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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