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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

医院をオープンする時の立地選びで考えておくこと。 利便性だけでなく、あり方による立地の選び方とは?

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2024.09.15 執筆者:和仁 達也

 
新規開業でも分院展開でも、立地選びは悩ましいものです。

通常なら、人通りの多いところを選びそうですが、
家賃の高さをはじめ相応のリスクも伴います。

そんな時、利便性だけにとらわれず、
“あり方に基づく立地の選び方”という視点があると
後悔しない決断ができる。今回はそんなお話です。

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加藤院長はここ数か月、分院の立地をどこにするか、で悩んでいた。

閑静な住宅街にある今の本院は親から引き継ぎ長年続けているので、
これまで立地選定に悩んだことがなかった。

駅前など人通りが多いところは、本院とは異なる客層を呼べそうだが、
想像以上に空き物件がなく、家賃はかなり高かった。

ショッピングセンターなどの大型施設も集客の面で有利な気がするが、
コロナによる休業など店舗側の都合で強制的に休みにさせられる
リスクがあるし、やはり家賃も高い。さて、どうしたものか・・・。

 
そこで、キャッシュフローコーチの和仁との定例ミーティングの議題は、
「新しい分院の立地選定をどう考えるか?」にした。

事情を把握すると、キャッシュフローコーチは質問を投げかけた。

「加藤院長、クリニックでも飲食店でも、一般的には
“人が集まりやすい”立地を探しがちですよね。

ただ、それはあくまで立地を選ぶ際の“1要素”に過ぎないと思います。

そこで、まずは“立地を選ぶ基準”を整理してみましょう。
立地にどんな要素を求めたいですか?」

 
加藤院長は即答した。

「まずは、①“目立つこと”でしょう。
駅前や大きな道路の交差点など、人目につく場所なら、
新規の患者さんを獲得しやすそうです。

それから②“行きやすさ”
駅前やショッピングセンターの中だと、仕事帰りや買い物のついでに
寄れるので、アクセスしやすいです。

あと、何かな~。③“安全性や印象”も大事かな。
治安の良さは大事だし、風俗街みたいなところには出したくないです。

それと、④”競合が少ないこと”も重要です。
周りに歯科医院がいくつも並んでいる中に、わざわざ出す必要はないし。
ただ、これは後から後発の医院が建つ可能性は避けられないから、
あまり考えなくていいのかな?

ざっと、そのくらいでしょうか」

 
キャッシュフローコーチは加藤院長が口にした視点を
ホワイトボードに書き出しながら、話を続けた。

「①“目立つこと”、②“行きやすさ”、③“安全性や印象の良さ”、
④“競合が少ないこと”、の4つが出ましたね。

他にはどうでしょうかねぇ。
例えば、⑤“本院と分院の相乗効果”という視点はどうですか?」

 
「相乗効果と言うと?」

「例えば、本院と分院が適度に行き来しやすい距離や場所であれば、
ドクターやスタッフが人不足の時に応援に行きやすくなりますね。
ただ、近過ぎると自社競合となって患者さんの奪い合いに
なりかねないので、工夫は必要ですが」

 
加藤院長は膝を叩いて答えた。

「なるほど!たしかにそこは気になっていました。
オープンしてしばらくはわたしが分院を担当して、
本院は副院長に任せることになりますが、
任せきるのは難しいと感じていたので。

あと、スタッフの体調不良や退職などで人不足があった時にも、
相互補完できるスタイルだと安心ですね。

あと、当然ながら⑥“家賃の高い低い”も重要な要素ですね」

 
キャッシュフローコーチはうなずいた。

「たしかに!家賃が100万円の物件Aと50万円の物件Bが
あった場合、もし物件Bでも経営努力で同じだけの売上をつくれた場合、
月額50万円分の予算を他に使えることになりますからね。

例えば、治療の質を高めることに使ったり、
スタッフの給料水準を引き上げることにも使えます」

 
加藤院長はハッとした表情で続けた。

「なるほど、本当ですね。家賃で50万円も違ったら、
3人のスタッフの給料を10万円ずつ当初の予定より
高くしてもいいわけか。
それなら、かなり能力の高いスタッフを雇えそうだな」

 
「その発想はすばらしいですね。お金の使い道を最適化することが、
理想の医院づくりにつながりますから、そこはよく考えたいところです。

さあ、いろいろな選定基準が出てきましたね。

①“目立つこと”、②“行きやすさ”、③“安全性や印象の良さ”、
④“競合が少ないこと”、⑤“本院と分院の相乗効果”、⑥“家賃の高い低い”、

と言ったところでしょうか。
加藤院長、ここまで話してきて、何か気づいたことはありますか?」

 
「う~ん、ついさっきまでは、私は
“目立って人通りが多い立地=良い立地”と思い込んでいましたが、
それは短絡的だったな、と気がつきました。

と言うのも、当院の良さは、診療レベルの高さと丁寧な情報提供が
喜ばれて、患者さんからの紹介や口コミで増えてきたところです。

このスタンスは分院であっても変わりません。

だとしたら、わざわざ高い家賃を払って、
駅前やショッピングセンターなどで一見客のような患者さんを
狙う必要はありませんよね。

なんらかの交通手段でストレスなくたどり着ける場所である
必要はありますが、少なくとも①“目立つこと”と②“行きやすさ”は、
優先順位は下がります。

③“安全性や印象の良さ”は相応に必要ですが、
④“競合が少ないこと”はあまり重要じゃないです。
どうせ後から近くに開業してくる可能性はゼロじゃないんだから。

⑤“本院と分院の相乗効果”は大切にしたいし、
⑥“家賃の高い低い”については、頑張っているスタッフに
還元できるよう、なるべく低いところにしたい。

利便性だけを優先するのではなく、どんな医院でありたいのか、
その“あり方”をベースに考えると、なんとなく、
当院にふさわしい立地の条件がハッキリしてきました!」

 

【今回のレッスン】

 
◎立地の選定は、「人が集まりやすいから」「移動がラクだから」などの
 利便性だけではなく、あり方をベースに多面的に検討したい。
◎少なくとも、①“目立つこと”、②“行きやすさ”、③“安全性や印象の良さ”、
 ④“競合が少ないこと”、⑤“本院と分院の相乗効果”、⑥“家賃の高い低い”、の
 6つの視点を検証しよう。

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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