コンサルタント&士業が適正報酬で長期関与が続く オンライン版 コンサルタントの教科書コンサルタント&士業が適正報酬で長期関与が続く オンライン版 コンサルタントの教科書

歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

スタッフへの教育投資が医院に利益をもたらすメカニズム 生産性が10%アップしたら、医院とスタッフはどうなるか?

23

2026.01.15 執筆者:和仁 達也

 

賃金上昇ムードが高まる中、その原資を捻出するためにも
生産性アップは多くの企業にとってますます重点課題となっています。

今回は、10%の生産性アップがもたらす経済効果についての話です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

加藤院長は、今後のスタッフへの教育投資について考えていた。

今までは、院長の技術力を頼りに医院を引っ張ってきた。
しかし、治療だけでなく予防診療に比重を高めている
ホワイト歯科にとっては、歯科衛生士や助手、受付スタッフの
総力戦で生産性を上げていくことが必須である。

そのための教育投資はもっと強化すべきだろう。

頭ではそう理解しているが、今ひとつ実感として
イメージを抱けないのも事実だった。

そこで今月のキャッシュフローコーチの和仁との
定例ミーティングでは、

「スタッフの生産性向上が医院にもたらす経済的成果」

について具体的な解説をしてもらうことにした。

 

キャッシュフローコーチが入室すると、
加藤院長はさっそく議題を口にした。

 

「スタッフの生産性向上が大切ということは
頭ではわかっているんです。また、そのために
スタッフへの教育投資が必要なことも。

ただ、概念としてはわかるのですが、それによって
具体的にウチの医院の経営がどう良くなるのか、
具体的にイメージできないので、一歩踏み出せずに留まっている
んですよね」

 

キャッシュフローコーチは院長の意図を理解すると、話し始めた。

 

「なるほど、わかりました!では今日は、
スタッフの生産性が10%アップした時に、スタッフは
どう経済的に報われて、医院はどれだけ利益がアップするのか、
を具体的にシミュレーションしてみましょう。

まず前提として、話をシンプルにするため、
医院の収支がこのような感じだとします。

売上が100、粗利率80%、固定費が70(人件費40とその他30)、
利益が10の医院です。

もし単位を「百万円」とすれば、売上100は1億円を意味します。
ここまで大丈夫ですか?」

 

 

加藤院長がうなずく姿を確認して、話を続けた。

「この医院は粗利の50%を人件費に分配するルールだとしましょう。その時、労働分配率は50%です。80の粗利を稼いだ時の人件費は40となります。

さて、ここからが本題です。この医院で生産性が10%アップすると、どのブロックの数字がどう変わるでしょうか?」

加藤院長の反応がピタッと止まったのを見て、キャッシュフローコーチはすぐに話を続けた。

「労働分配率50%とは、逆に言えば『人件費40で粗利80をつくる。つまり生産性200%』とも言えます。これはOKですか?」

加藤院長は即答した。
「これは労働分配率についての説明を、別の言い方で言っている、ということですよね?」
キャッシュフローコーチはにこやかに答えた。

「そうです!つまり、この医院は40の人件費で80の粗利をつくっていて、生産性は200%です。
ここでスタッフ全員の生産性が10%アップするとしたら、つまり生産性が220%になったら、粗利はいくらになるでしょか?」

キャッシュフローコーチはホワイトボードに描き始めた。

 

 

・人件費40に対して220%の粗利は、40×220%=88。
・粗利率が88%なら、売上は、88÷80%=110。
・固定費が70のままなら、利益は18。

加藤院長は、驚きの声を上げた。

「なんと、利益は1.8倍になるんですか!」

 

キャッシュフローコーチは答えた。

 

「そうです。ただ、スタッフの生産性向上によって
生まれた利益をすべて医院の利益にしてしまうのは、
納得が得られないかも知れませんね。

そこで、“労働分配率50%ルール”を維持したとしましょう。

すると、どうなるでしょうか?」

 

・粗利88の50%なので、人件費は44となり、10%アップ。
・その時、利益は18から4を引いて14となり、それでも40%アップ。

 

加藤院長は思わず唸った。

「なるほど、これならスタッフの給料が月25万円のスタッフは
10%アップで27万5千円にしてあげられて、
その上、医院の利益は40%も増えるわけですね」

 

キャッシュフローコーチはうなずきながら言葉をつなげた。

 

「そうです。このくらいの経済効果が見込めるなら、
スタッフを研修に派遣したり、スタッフがさらに働きやすく
なるような環境を整えることに投資する価値は
十分にあるのではないでしょうか」

加藤院長はさっそく、新年度の予算に「生産性向上予算」として、
スタッフ教育や設備への投資として何にいくらを当てるか、
具体的に考え始めた。

 

 

【今回のレッスン】

◎医院の生産性が10%アップすることが、何をもたらすか、を
 具体的に試算してみる。
◎スタッフの給料を10%アップできるとしたら、院内の士気や定着率はどうなるか?
 採用のしやすさはどうか?それに伴い、院長の負担はどれだけ軽減できるか?を
 イメージすると、一歩踏み出す勇気が湧いてくる。

 

この記事の内容が役に立ったと思ったらSNSで共有してくださいね!
23
  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

新着記事を毎週メールでお届け!

中小企業の社長が抱える、
お金やコミュニケーションの
“お困りごと”を解決する知恵
をお届けします。
有料記事も無料で公開。