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社員を巻き込みビジョンを実現する キャッシュフロー経営って?

ガラス張り経営の具体的な実践法7つのステップ

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2022.10.30 執筆者:和仁 達也

「ガラス張り経営をやるには、何から手を付けたらいいの?」
という相談を受けることがあります。

会社の大切な情報をオープンにする以上、その扱いは
丁寧に行いたいものです。

やり方を間違えると、全く効果が出なかったり、
最悪の場合、それが社員の不満を招く逆効果にも
なりかねません。

そこでこの記事では、わたし和仁がコンサルの現場で
実践してきたガラス張り経営の実践法を7つのステップで
紹介します。

導入のヒントにしていただければ幸いです。

この記事はボリュームが大きいので、
まずは1回、おおまかな流れをつかむ程度で読み流し、
関心があるところだけ再度読み返すとスムーズに理解が深まります。

 

【ステップ1】社長が会社のビジョンを紙に書き、社員に伝える

会社が目指している理想の姿がビジョンです。
ビジョンは必ずしも堅苦しい計画書にまとめる必要はありません。

1年後、3年後、10年後について、
1枚の紙に書き出すだけでもOKです。

A3サイズの紙を使って「売上」「規模」「人材」「営業構造」
「商品」「自己啓発」「プライベート」の7つの視点で、
ビジョンとなるキーワードを書き出していきます。

私はこれをビジョナリーマップとよんでいます。

その描き方は自由ですが、私はトニーブザン氏が開発した
マインドマップというノート法を活用し、周りの方にもお勧めしています。

これは右脳と左脳の両方をフル活用して放射状にアイデアを
書き出すというものです。

1枚にすべてのビジョンを描き出すことができるので、
相互の関連性もわかりやすくなり、とても便利です。

なお、マインドマップの書き方を詳しく知りたい方は、
「ザ・マインドマップ・ブック」(ダイヤモンド社)を読まれると良いでしょう。

そして、ビジョンと同様にもう一つ大事なこととして
私がよくお話しするのは、私が東京ディズニーランドの
元総合プロデューサーである堀貞一郎さんから教わった
カンパニースピリッツです。

これはいわゆる企業理念に近いもので、社長だけでなく
社員の心をも奮い立たせるものです。

「それは、経営書でよく目にする
『ミッション・ステートメント』と同じものですか?」

と質問されることがあります。

たしかに似た言葉として「使命感を持ってなにをするのか」を
意味するミッションがありますが、カンパニースピリッツは

「それをどのようにやるか」
「どのような信念、こだわりをもってやるか」

という価値観を言葉にしたものです。
今の時代、非常に重要だと思います。

リッツ・カールトンのスタッフが持っているクレドには、
「私たちは紳士淑女をおもてなしする紳士淑女である」
というモットーが書かれていますが、この言葉はスタッフ自身、
心が奮い立ちますよね。

ディズニーランドの「ハピネスの提供」もそうです。

ゲスト(お客さん)に対して、「ハピネスを提供できているだろうか?」
という基準をもって仕事をするわけですから、ふつうの会社とは
考え方も動きも当然ながら違ってきます。

このように、仲間を引き寄せる力のある信念、
「私たちはこれほど素晴らしいことをやっているんだ!」
と社員の心を奮い立たせるような、ワクワクする言葉
をカンパニースピリッツといいます。

このカンパニースピリッツを考える際には、
経営者が自分の心に素直に向きあうことが重要です。

それは大変な作業ですが、一度できると、それ以降は
カンパニースピリッツが仕事をする上での
社長と社員の合言葉となり、目指す基準となります。
そのため社長にとっても仕事の指示がやりやすくなります

 

【ステップ2】 現状のお金の流れを把握する

次に、今、会社がおかれている状況をお金の面から把握します。

売上に対して粗利や利益の割合はどれだけか。

人件費は粗利の何%をしめているのか。

返済額に見合った利益をつくれているか。

など、いろいろと見ておきたいポイントがあります。

手っ取り早いのは下記の「お金のブロックパズル」の中に
実際にあなたの会社の数字を入れてみることです。
決算書を取り出して、書き出してみましょう。

 

(  )の中に実際の会社の数字を入れてみよう!

この図からいろいろなことがわかるのですが、
重要なこととして次のことが言えます。

1・粗利>固定費 でないと赤字になる。そうなると、
来年以降への蓄えができなくなるばかりでなく、
借金がある場合は返済ができなくなるので、問題である。

2・利益>返済 でないと、お金がまわらない。
そうなると、さらに借入をしてまかなうか、
社長の個人資産を投入するなど、
本業の収入以外からの資金調達が必要となり、問題である。

3・粗利という「入り」に対して人件費という
「出」の割合が、ある一定の範囲内に収まっていないと、
人件費負担で利益が出難い構造になる。
そうなると、さきほど1で述べた問題が起こる。

4・売上が大きくても、粗利率が小さいと
正味の収入である粗利は小さいため、
固定費が十分にまかなわれない恐れがある。
そうなると、3で述べた問題が起る。

お金の流れを部分的に見るのではなく、
「お金の流れの全体地図」として眺めれば、
どこに問題があるかはすぐわかります。

四角のブロックが14個あるだけのシンプルな図ですが、
これに自分の会社の数字を入れればいいのです。

そうすると、

「私の会社のお金の流れはこういう感じなんだな、
ここが問題なんだな」

ということがイメージでわかるのです。

私が実際にコンサルティングでガラス張り経営の
会議に参加するときには、

「数字で考えるのではなく、図で考えましょう」

といいます。

「数字だらけだと頭が痛くなりそうですが、
図だったら覚えられそうな気がする」

という人は多いです。

例えば売上が100あったときに粗利が50だとします。
そうすると粗利は売上の半分の大きさで図を描くのです。

例えば人件費が粗利の50%だとします。
粗利に対して50%の大きさで人件費の四角の図を描く
というように図でイメージする。

それを実際に手で描いていくことで頭にインプットしていく。

経営のツールとして使うには、簿記の勉強よりも
そのトレーニングをすることのほうが
100倍使えると思います。しかも簡単です。

難しい理論のほうが、一見もっともらしいし
効果がありそうに思えますが、それは幻想です。

実務で使えないからです。

実務で使えるのは、誰が見てもわかるぐらい
シンプルな方法論であり、ツールなのです。

そしてこのレベルの簡単さだからこそ社員とも共有できるんです。

ガラス張り経営をやろうとしたら、
まず社長がこの単純な図を覚えることから始めましょう。

次に、それを社員と共有する。

間違っても、いきなり決算書を見るのはやめましょう。

もし決算書を見るとしたら、
この図に数字を入れる目的で決算書を見るのです。

損益計算書、貸借対照表、数字がたくさん書いてある
ものを見て分かる小企業の社長はほとんどいません。

なぜかと言うと、それらの書類は経営者が
わかるようには書いていないからです。

それら決算書というものは税務署に出すための書類だからです。

あれは元々、分析のための表ではなくて税務申告書類です。

だからあれを経営に使えるツールとして翻訳して
分析するのは次の仕事、たとえばコンサルタントの仕事
であったりするわけです。

実を言うと、社員10人程度の小さな会社であれば、
緻密な分析表を見るよりは、短時間である程度
大きく全体を把握したら、あとは対策を考えることに
頭と時間を使ったほうが実践的です。

要するに問題を出来るだけ短時間に見極めて、
それで対策だけを考えるほうがいいということです。

通常の財務諸表を見てしまうと、訳がわからず、
問題点がぼやけてしまい、結局
「とにかく売上を上げればいいんだろう」
みたいな話になってしまいます。

ですからあくまでも、目的が何かということから
逸れないようにしましょう、

分析をして過去の問題点を探り出すのが目的ではなく、
「これからどうするか、目標に現状を近づけるために
どうしたらいいか」ということに意識を向けるのが目的ですから、
そのためにこの数字の必要なところだけを把握する。

そして、売上、粗利、人件費、利益を連動させて考える。

つまり入りと出のバランスがとても重要で、
たとえば「粗利という入りに対して、人件費という出を
どれだけ確保するか」という根拠を最初に決めておく
ことが大切なのです。

ここまで、ステップ2というのは、
客観的に全体の数字を把握するということですが、
把握すべき数字は非常に少ないのです。

売上、粗利、固定費、人件費、利益、借金の額、の6つです。

この数字を今すぐ埋めていただきたいわけです。

図に入れる数字は、すべて決算書に載っています。

1年間の動きを大まかに把握するという意味で、
まず直近の1年間の決算書を持って来て、それで
まず数字を入れてみる。

それも面倒くさい人は顧問税理士に聞けば早いです。

「この科目を教えてください」と。

または、「ここに数字をいれてください」と
お願いすれば、もっとラクでしょう。

もちろん、経理担当者がいる場合は、
その人に依頼すればokです。

そして、もしできたら過去3年分の数字を
書き出せると理想です。そうすると、
会社の数字がどう変わっていっているのか、
その推移が見えますから。

「売上はだんだん大きくなっているわりに、
粗利はほとんど増えていない」

「ほかの数字は横ばいなのに、
人件費だけが毎年増えていっている」

「黒字なのになぜか資金繰りが苦しいと思ったら、
利益を大幅に超える借金返済をしていた」

というように、いろんなケースがあります。

そういうわけで、いま社長であるあなたに
していただいたいことは、経理担当者か顧問税理士に

「この図の中に、数字を入れてください。
それを過去3年分、欲しいです」

と伝えればOKです。

 

【ステップ3】1年間の目標を1か月単位の計画に落とし込む

前述したように紙に書くことで、ビジョンが明確になって、
どんなこだわりをもって事業を行うのかがはっきりします。

そして現状のお金の流れも大筋は把握できるでしょう。
そこで頭がスッキリしたら、次に1年後のビジョンの実現に向けて、
この1年間のお金の出入りを数字で裏付けをします。

ただ、ここでちょっと注意です。

いきなり数字と罫線だらけの小難しい資料を作成しないでください。

【ステップ2】のように、「お金のブロックパズル」を利用して、
主要な数字の目標を決め、そこに根拠を持たせることから
始めましょう。

つまり、【ステップ2】では、過去の実績値を図に入れましたが、
今度は目標値を図に入れるのです。

そして、次にそれを12で割れば、おおざっぱに
1ヶ月ごとのお金の流れがつかめますね。

表計算ソフトを使って計画表をつくるのは、その後で十分です。

上級者は、キャッシュフロー計画表を作成します。

これは、縦軸に売上、粗利、固定費、利益、返済などの
主要な科目名を並べ、横軸に12ヶ月および年間合計が
くるものにして、パッと見て12ヶ月のお金の流れが
把握できるようなものにします。

しかし、はじめのうちは、1ヶ月ごとの数値目標の図を
12枚つくるだけでもOKです。

 

【ステップ4】その売上目標達成に向けたアクションプランをつくる

ステップ1~3までは、現状を把握し、社長の願望を
絵に描いただけに過ぎません。

それだけでもアンテナが張って、アイデアや人脈など、
ビジョンの実現において必要な情報をキャッチするように
なる効果があります。

しかし、実際に行動に移す上で重要なのが、
アクションプランをつくることです。

これも、1年間の全体としての動きをA3・1枚のシートに
描き出しておくと、動き方のペースや流れを
社員と共有する上でとても便利です。

いつ何をするかを時系列に書き出していくことで、
直前にドタバタせずに、余裕を持って準備ができます。

 

【ステップ5】社員に、お金のブロックパズルを教育する

「ガラス張り経営だから、数字を公開しなくては」
ということで、多くの社長が勘違いしていることがあります。

それは、数値の書かれた資料(たとえば決算書や帳簿など)を
そのまま社員に見せようとしますが、これは無意味です

なぜなら、社員の側でその情報を理解する用意ができていないので、

「どこを見て良いかがわからない」

また

「その数値がどういう意味を持つのかがわからない」

からです。

社長でさえ儲けの仕組みをよくわかっていないケースが
あるくらいなので、社員にそれを分かれ、というのも
酷な話ではないでしょうか。

そこで、しばらくは基礎教育として、
お金がどのように入って、どう分配されて、どれだけ残るのか
(あるいは足りないのか)、そのメカニズムを
社員が学ぶことが大切です。

その際にステップ2のお金のブロックパズルを実際に何度も
ノートに書かせて頭の中にたたき込むことが有効です。

この図を全部覚えられれば理想ですが、
当面は売上から利益までのところで十分です。

ただ、「利益が出た後にも税金をはじめとする支出が
いろいろある」程度には覚えておいてもらいましょう。

 

【ステップ6】毎月の会議で、目標対比の進み具合を把握させる

売上にせよ利益にせよ、ただ単に実績値だけを見せられても、
社員はどう捉えてよいかがわかりません。

比較すべき対象があってこそ数値は意味を持つのです。

経営においては、目標との比較が重要ですから、
「目標はこうで、今月の実績はこうだ」
「このままいくと、年度末の結果はこうなりそうだ」
という先の見通しを共有することが、
同じ認識に立つための条件となります。

それを社員と共有する際も、なるべく主要な数字に絞って
議論するとよいでしょう。

主要な数字とは、具体的にはどの数字をチェックすればよいか?

この次のトピックで紹介するように、

「売上、粗利、利益の目標達成度」
「労働分配率」
「最終のキャッシュフロー」

の3つの基軸で見ていきます。

その他の細かなところは極端に大きい(小さい)数字などの
異常値だけをチェックしておけばOKです。

「経営をガラス張りにするなら、あれもこれもデータを細かく
見なければいけない」

と思い込んでいる方がいますが、そうではありません。

道路地図は写真と違って余計な情報を取り除き、
目印となる建物も記号化して表しているからわかりやすいのです。

それと同じで、情報は詳し過ぎるとかえって訳がわからなくなります。
デフォルメした図になっているからこそ、
肝心なポイントが伝わるのです。

会議の際にはホワイトボードを用意して、
図を描きながら情報共有していくこと、そして
それを社員にはノートに自分の手で書かせることが鍵です。

 

【ステップ7】毎月1回、必ずプランの見直し・改善を行なう

PLAN(計画を立てる)
→DO(実行する)
→SEE(プランを見直し軌道修正する)
のマネジメントサイクルを何度もまわすことで、
徐々に目標に近づいていきます。

最低でも、月に1回は全体会議を行い、
このサイクルをまわすことをお勧めします。

見直しをする機会とは、
「ビジョンを思い出し奮起する機会」であり
「よりビジョンに近づくやり方を全員で考える機会」でもあります。

それを年間12回やっている会社と、
年間1回の会社では、結果が違って当然だと思いませんか?

このような建設的な話し合いを毎月行なえば、
きっと会社は今よりもっと良くなることでしょう。

その際に、ミーティングの進め方が重要になります。

このステップ5~7においては、スタッフとのミーティングが必要です。
その進め方のコツについては、またの機会に詳しくお話ししていきます。

ここまでの7つのステップを本当に実践すると、
「会社が変わらないはずがない!」です。

いきなり全部をやろうと思わなくても良いので、
まずはステップ1からできるところまでトライしてみてみましょう。

この記事内容の理解をさらに深めたい方は、
執筆者によるこちらのセミナー教材が参考になります。

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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