不満を吹き飛ばす強みとは?
2023.01.04 執筆者:和仁 達也コミュニケーション着眼点
ビジネスにおいて、「お客さんが不満に感じる点は
できるだけ改善して、顧客満足度を上げるべき」という考えが
ありますが、本当にそうなのか?
その考察について共有します。
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以前、3泊4日とか、5泊6日の出張が続いていた頃の話です。
セミナーや講演、合宿などはほとんど地元名古屋ではなく
東京や大阪など遠方が多いからなのですが、
これだけ出張が続くと、移動も大変。
せめて移動疲れを癒せるホテルに泊まりたいと検索していると、
某都会の中に天然温泉の大浴場があるホテルを発見!
サウナもあって露天やジャグジーもあるとのこと。
「セミナー後の疲れを癒すには、これはピッタリ!」
と、速攻で予約を入れました。
そして宿泊当日。残念なことが続きました。
まず、大浴場までの着衣について。
ふつう、同じ施設内に大浴場がある場合、備え付けの部屋着で
リラックスした状態で行けることが多い。
なので、今回もてっきりそうだと思いきや、
念のためフロントに電話で尋ねると「部屋着は不可」とのこと。
しかも、「部屋のスリッパも不可で、靴での来場」を、
とのこと。
(はぁ?仕事が終わってリラックスしたいのに、
スーツと革靴で大浴場に行って、風呂上りにまたこれを着て
部屋に戻れってこと? 考えられんっ!)
まあ、仕方がないか、と大浴場につくと、
入浴チケットを部屋に置き忘れていたことに気づく。
でも「大浴場の入浴チケット付き」プランで予約している
ことは受付に確認すればわかるんだから、
カウンターでその旨を伝えれば通してくれると思いきや、
「すみません。チケットをお持ちいただけますか」と拒絶。
チケットを部屋に置き忘れた自分のミスは棚に上げて、
そもそもイライラしていたところに輪をかけてイライラが募る。
しかも、いざエレベーターからカウンターを通って
浴場内に入って気がついた。
「別に部屋着とスリッパの移動でも、全然問題ないやん!?」
さて、ふだんのわたしなら、このホテルを使うことは、
これが最初で最期になったことでしょう。
ところが、大浴場を出た後、「まぁ、次も来よう」と思えました。
なぜか?
それは、その都会の中の温泉の希少価値と、
ジャグジーや露天の気持ち良さが、不満を超えてくれたからです。
「その強みにあぐらをかいて、サービス改善を怠っている!」
と言えなくもないのですが、よく考えたら料金もそこそこリーズナブル。
不満を吹き飛ばす強みが「割り切って使う分には、まあいっか」
と思わせてくれたのでした。
限られたリソースや労力をどこに振り向けるか。
弱みの改善に充てるか、強みにフォーカスするか。
欠点の補完と強みの引き上げ、優先順位を考えさせられました。