上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
なぜ、彼女は仕事を抱え込むのか?
2023.03.07 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方安心安全ポジティブな場づくり着眼点
「真面目で仕事熱心、非のうちどころのない
チーフスタッフがいるのですが、唯一の悩みは、
仕事を自分一人で抱え込むことなんです」
そんな悩みを、ある院長から相談されました。
そのスタッフは結婚し、子どもを産む意思もあるため、院長は
「いつ出産休暇に入ってもいいように、
他のスタッフに仕事をうまく分散してもらいたい」
と考えていました。
ところが、そのチーフは
「自分がやったほうが早いから」
という理由で、一向に仕事を他人に任せる気配がありません。
院長としては、院長命令で強制的に仕事を振るよう
指示してもよいのですが、せっかく責任感もあって
やる気を見せてくれているので、なるべく自主的に動いてもらいたい。
そうこうしているうちに、1年が経ちました。
いまだに仕事を他のスタッフに振る気配はありません。
さて、なぜ彼女は仕事を抱え込んでしまうのでしょうか?
その理由はいくつも考えられます。
・他のスタッフに任せようと思うと、嫌な顔をされるから。
(だったら自分でやった方がいい)
・やり方を人に教えるのが苦手で、その気苦労をするなら、
自分でやったほうが早いから。
・仕事を他人に振ると、自分の居場所(=存在価値)が
なくなる気がして不安だから。
・教える気はあるが、どれからどの順番で教えればいいか、
がわからないから。
・日常業務で忙し過ぎて、教える時間がとれないから。
・そもそもスタッフ同士の仲が悪く、会話することすら億劫だから。
などいくつもあり得ます。
しかしわたしが思うに最大の理由は、
「なぜ、仕事を引き継がなければならないのか?」
の理由が不明確だから、ではないかと感じます。
上記に上げた理由を覆すだけの
「引き継がなければならない理由」がないからです。
「いや、妊娠して出産休暇に入ったら、
他のスタッフに任せなきゃいけないのだから、
理由は明確ではないか?」
と思いますが、案外スタッフ自身は
「妊娠が判明してから引き継いでも十分に間に合う」
と考えているかもしれません。
ときに大切なことは、「やりかたを考える」ことよりも、
「それをやらなきゃいけない理由」だったりします。
今必要なのは、どっちでしょう?