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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

独立前に必須。30分★お金のブロックパズル・シミュレーション

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2024.04.15 執筆者:和仁 達也

手に職をつけた専門家が、お金の勉強をせずに独立開業して、
過剰な借金を背負い、計画通りの売上をつくれずに1年経たずに廃業。

そんな話を聞くことがありますが、これは誰も望んでいない未来ですよね。
たった30分、「お金のブロックパズル」で簡単な試算をするだけで
目指すべき水準の解像度が上がるやり方があります。

歯科医院の事例ストーリーを紹介します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

加藤院長は、かつての歯科大学時代の友人、伊藤が独立開業するということで
相談に乗ってほしいと頼まれ、いきつけのバーに誘い出した。

ビールで乾杯をして、久しぶりの再会の挨拶もそこそこに状況を聞くと、
「1年以内の開業を決めている」とのこと。

伊藤は銀行や設備投資のディーラーとも話を進めているが、
地に足がつかないフワフワした感じで、漠然とした不安が
払しょくできずにいた。

「加藤はすでに開業して成功しているから、
今日はこれから開業するにあたって、教えを請いたいと思ってね。
正直言うと、何がわからないかもわからない感じなんだ。

セミナーに行くと『収支計画を立てたり、医院の理念を作るべき』と
講師の先生が言うけど、何から手を付けたらいいのか・・・。

銀行に借入する金額も数千万円単位と高額で、設備を買うにしても
その金額が妥当なのかどうかもよくわからない。

また、これからスタッフを採用すれば人件費もかかるし、
本当にそれに見合った売上を作れるんだろうか、
と考え出すと不安が止まらなくてね」

伊藤は一気に腹の内を吐き出した。
加藤院長はかつての自分を見る思いで、うなずいた。

「わかるよ。僕も独立したときは右も左もわからず、
無駄な買い物も結構したからね。

今はキャッシュフローコーチを付けて、月に1回の経営会議を
やっているからそこで不安なことはすべて解消して、
医療に専念できているけど、それまではドンブリ経営まっしぐらだったよ。

ところで、もう開業が1年後に迫っているってことは、
事業計画とかは作ってあるの?」

伊藤は苦虫をかみつぶした表情で答えた。

「いや、それが一応あるにはあるんだけど、
銀行に提出するために税理士さんに丸投げで作ってもらったものだけでさ。
このあいだ説明を受けたんだけど、正直よくわからないんだよね」

「僕の開業時とまったく同じだよ。わかった。じゃあ、
僕がキャッシュフローコーチに教わったやり方で、
30分でできるざっくりとした収支計画をつくってみようか。
これがドンブリ経営を脱却して、キャッシュフロー経営にとりかかる
初めの一歩だから」

加藤院長はカバンから付箋とペンを取り出すと
「お金のブロックパズル」を描き、いくつかの質問を投げかけた。

<質問>

1・1日に何人の来院数を想定するか?(できれば、3段階くらい想定したい)
2・保険診療と自費診療、それぞれの平均患者単価はいくらか?
3・月に何日を稼働日にするか?
4・チェアは何台で、スタッフは何人を雇うか?

伊藤の答えをもとに、加藤院長はおおよその数字をはじき出した。

<質問にもとづく試算>

1・ある程度、軌道に乗った水準で言えば、できれば1日20人、少なくとも12人は目指したい。
2・平均患者単価は、保険診療は5千円、自費診療は3万円とする。
3・週休二日制として、月22日を稼働日とする。
4・チェアは3台で、スタッフは診療スタッフが3人と受付1人。ドクターは当面は自分一人。

ここでわかるのは、まず売上の仮説だ。全員が保険診療だった場合の売上をケースA、仮に来院者の2割が自費診療だった場合の売上をケースBとしよう。

■ケースA:
仮に全員が保険診療だった場合の売上は、
5千円×20人×22日=月220万円。

■ケースB:
仮に2割が自費診療だった場合の売上は、
保険収入は5千円×(20人×0.8)×22日=176万円。
自費収入は3万円×(20人×0.2)×22日=264万円。
よって合計で月440万円。

つまり、自費診療をどのくらい見込むかによって2倍以上もの
大きな差が出るということがわかる。

また、もちろん「自費診療の平均単価が3万円」というのも
あくまで仮の数字。伊藤の診療内容やレベルによっても違ってくるだろう。

また3台のチェアで患者数が1日20人というのも、
1日にチェア1台あたり7人を診る(1時間につき1人を診療)という、
それなりの人気医院という換算になる。

また人件費は、スタッフは4人ということで、
月25万円の給料にボーナスを慣らして月平均5万円とすると、
1人あたり月30万円。伊藤自身の院長報酬は当面は月50万円。
よって、人件費合計は30万円×4人+50万円=月170万円。

その他の固定費は、人件費の50~70%くらいだから、
仮に切り詰めて低めに見て50%としても月85万円はかかる。

これを「お金のブロックパズル」に入れると、こうなる。
加藤院長は言葉を添えた。

「歯科医院は売上の80%が粗利だから、ケースAの場合、
粗利のほとんどが人件費として消えてしまい、その他の固定費分がほぼ赤字になる。
これは初めから破綻しているってわかるよね。

ケースBなら、月97万円の利益が残るから、
ここから借入の返済も可能だろうね。

ただ、当然ながら『1日の来院数』『平均患者単価』『人件費』
『その他の固定費』をどう見るかによって利益は変わってくる。

あくまで、ざっくりとしたシミュレーションだけど、
ちょっとイメージがつかめたんじゃないかな?」

伊藤は付箋のメモを凝視して答えた。

「ああ、来院者数が同じでも、保険診療のみの場合と
自費診療が2割の場合で、ここまで利益が違うとは驚いたよ。

もっとしっかりお金のことも学んで、ちゃんとした医院経営を
しなきゃって思った。ありがとう」

 

【今回のレッスン】

◎開業時には、30分でできるざっくりとした収支計画をつくってみよう。
これがドンブリ経営を脱却して、キャッシュフロー経営にとりかかる初めの一歩となる。
◎いったん作成した後に、『1日の来院数』『平均患者単価』『人件費』『その他の固定費』などの
変数をどう見るかによって利益は変わる。脱★完璧主義でトライしよう。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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