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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

「なぜ、私がやらなきゃいけないのですか?」の疑問への対処法

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2024.03.15 執筆者:和仁 達也

自分の役割について、本人の定義と上司の定義が異なることがあります。
それ故に、「この仕事、なぜ私がやらなきゃいけないの?」という
疑問が積もりに積もってストレスになることがあり、要注意。

今回はそんな事例を、歯科医院を題材に紹介します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ホワイト歯科では月1回、キャッシュフローコーチの和仁が
医院に訪れて定例ミーティングを行っている。

今日は、ふだんなかなか院長には言えないスタッフの
疑問や意見を、キャッシュフローコーチが聞き取り、
院長とのギャップがあればそれを解消する
“スタッフ面談”の日だった。

思えば、キャッシュフローコーチが関与し始めた数年前の当時は、
スタッフ達には医院や院長への不満が溜まっていて、
その対応にも相当なエネルギーを要したものだった。

しかし、それらの意見に対して院長は真摯に向き合い、
改善を重ねていった。それ以降は半年ごとにスタッフ面談の場を
設けることで、問題が小さなうちに対処していった。

その結果ネガティブな意見はほとんどなくなり、

「どうすれば医院をよりよくできるか?」
「患者さんにもっと喜んでもらうために何をすべきか?」

という前向きなやりとりが面談中の会話の大半を占めていた。

そんな中、この日の面談では、当院では勤務年数が長い部類に
入る受付スタッフの伊藤が、自身の仕事の中身について不満を口にした。

「このところ院長から指示される業務が、
今までと違うことが多くて、戸惑っているんです。

今までは、電話や来院患者さんの対応、レセコンの入力、
書類の作成などが受付の仕事として定番でした。

ところが最近は、ホームページの作成やSNSの投稿、
チラシ作成など慣れない業務が増えた上に、今月からは
初診カウンセリングの担当や院内の連携役まで頼むと院長に言われて・・・。

正直、キャパオーバーというか、何でも屋みたいに
なっているというか、うまく言えないのですが、
モヤモヤしているんです」

キャッシュフローコーチは伊藤の話をひと通り聞くと、
「院長と情報を共有して、相談してみますね」と伝えた。

そして、その日予定していた5人のスタッフとの面談が
終わると院長室に入り、加藤院長にスタッフ面談の報告を行った。

「・・・と、だいたいこのような感じでみなさん、気持ちよく
仕事をされているようですが、受付の伊藤さんだけ、ちょっと
モヤモヤすることがあると言っていました。具体的には・・・(中略)

・・・と、伊藤さんの状況はこんな感じなのですが、
院長から見て、伊藤さんの働きぶりはどうでしょうか?

キャパオーバーかなとか、モヤモヤしているな〜って、
心当たりはありますか?」

加藤院長は腕を組み、首を傾げながら答えた。

「いや、そんな無茶な要求はしていないはずですよ。
伊藤さんの実力からすれば、決して無理な仕事量ではないし、
彼女の表現力が豊かなコミュニケーション力を評価してのことで、
わたしからすれば適材適所だと思っているのですが・・・。

給料面についても、勤務年数が長くてよく頑張ってくれているので
相応の手当もつけていますし。彼女はそれが不満な感じなんですか?」

院長の反応を見て、キャッシュフローコーチは気づいたことを口にした。

「たしかに伊藤さんの実力なら、今の仕事量がキャパオーバーだとは
わたしも思わないんですよね。給料への不満も無いようです。

どちらかと言うと、『何でも屋みたいになっている』ことへの
違和感やストレスが大きいのかも知れません。

つまり、『なぜ受付スタッフのわたしがこれをやるのか、
の意味がわからない』のではないでしょうか?」

その言葉に加藤院長はハッとした表情で答えた。

「確かに言われてみれば、当院の受付スタッフの役割は、
ここ3年くらいで大きく変わってきました。

従来は、電話や来院者の対応、レセコン入力、資料作成など
“定型のルーティーン業務”が中心でした。

ところが最近は、医院のホームページ作成やSNSへの投稿、
院内レターの作成などの“情報発信業務”や、初診カウンセリングなどの
“相談窓口業務”、それから患者情報を院内で共有するための
“院内連携業務”などが増えていて、むしろそちらの役割が
増していった気がします。

伊藤さんも、1つ1つは対応できると思って受けてくれて
いたんですが、積もりに積もって、
『なぜこれを自分がやっているのか?』がわからなくなって
しまったのかも知れません」

キャッシュフローコーチは合点がいった様子で答えた。

「なるほど!それなら理解できます。おそらく伊藤さんは、
それらの仕事を『やりたくない、やれない』のではなく
『自分がやる意味、理由がわからない』のでしょう。

面談の中で、『なぜ、これらが受付の仕事なのか?
チーフや副院長の仕事ではないのか?』とポロっと口に
していたのも、不満からというより、素朴な疑問として
出ていた様子でしたから。

ホワイト歯科もどんどん発展していくにつれて、
知らず知らずのうちに受付の役割も変わっていったのだと思います。

つまり、いわゆる“定型のルーティーン業務”から、
情報の発信や聞き取り、連携などの“付加価値創造業務”
に受付スタッフの主たる役割が移ってきたのではないでしょうか?

そして“定型のルーティーン業務”は若手スタッフに任せて、
難易度の高い“付加価値創造業務”を伊藤さんに任せたい、ということでは?」

加藤院長が大きくうなずくのを確認して、話を続けた。

「ただ院長も、はじめからその全体像を理解して依頼するわけではないので、
1つ1つ断片的に依頼されていたのだと思います。

院長の頭の中ではもちろん、その重要性はちゃんと認識できて
いるのですが、おそらくそれが伊藤さんには伝わっていなくて、
それがモヤモヤの原因だったんじゃないでしょうか?」

状況の本質をつかめたところで、キャッシュフローコーチは
ホワイトボードにポイントを書き出した。

<これまでの受付業務>
*定型のルーティーン業務:電話&来院患者の対応、レセコン入力、資料づくり

<これからの受付業務>
*付加価値創造業務:情報発信、相談窓口、院内連携

「若手の受付スタッフには“これまでの受付業務”を任せて、
実力者の伊藤さんには“これからの受付業務”つまり
“付加価値創造業務”をお任せしたい、という話を
きちんとしてあげてはどうでしょうか?」

「わかりました!業務内容に不満があるというより、
それを受付スタッフの自分がやる意味や理由が
わからないことへの違和感でモヤモヤしていた、
というのも理解できます。

これを放置していたらモチベーションダウンになるところでした。
さっそく、明日のミーティングで受付業務を再定義してみんなと共有してみます」

 

【今回のレッスン】

◎医院の発展に伴い、受付業務の主たる役割が知らないうちにガラッと変わっていることがある。
◎スタッフは、業務内容に不満がなくても、それを自分がやる意味や理由がわからないことへの違和感でモヤモヤすることがある。時々それを俯瞰でとらえ、共有することでスタッフは「ちゃんと意味を実感しながら働く」ことができる。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎“やり方”の前に“それをやる意味”を伝えておく

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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