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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

「医院のため」の大義名分を言い訳に、反論するスタッフへの対処法。 “あり方”と“前置きトーク”で予防する!

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2024.10.15 執筆者:和仁 達也

 
会社の方針を伝えた時に、「会社のため」「医院のため」と
大義名分を振りかざして反論するスタッフに、どう対処すべきか?

今日はその一例を、歯科医院の事例で紹介します。

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ホワイト歯科は、本院が軌道に乗ったのをきっかけに、分院をオープンした。

長年、副院長として活躍してきた佐藤に分院長を任せて、
スタッフは既存スタッフが1人移籍して、
残りの4人は新たに採用してのスタート。
スタッフの採用面接や教育は分院長の佐藤が担当した。

分院のオープンから2ヶ月が経ち、定例ミーティングで
キャッシュフローコーチの和仁は加藤院長に尋ねた。

「分院の調子はいかがですか?」

加藤院長ややや苦虫を噛み潰した表情で答えた。

「まぁ、なんとか資金繰りをギリギリ回すための”必達目標”は
クリアしていますが、高めの水準に置いた”挑戦目標”には届かない状態です。
理由は明らかで、スタッフが二分してしまっているんですよね・・・」

加藤院長の話を要約するとこうだった。

5人いるスタッフが

「医院の方針に沿って言動する人」
「どちらでもない人」
「常にネガティブな言動で場の空気を悪くする人」

が1:3:1の割合でいるとのこと。

ホワイト歯科では、価値ある情報はきちんと患者さん全員に伝える方針だ。

例えば、患者さんの健康維持に有益だと認めたホームケアグッズがあれば、
その存在と価値を、資料を見せながら対面で説明する。

そのような説明も、ネガティブなスタッフは
「患者さんの負担になるから」
「相手の表情から抵抗感を感じたので」
等の理由をつけて、避けていた。

それは院長の目には、「医院のため」ではなく
「自分が苦手なことをやりたくないが故の言い訳」に映る。

それは「やっても、やらなくてもいいんだ」という雰囲気をつくり、
他のスタッフにも影響を与えていた。

 
本院から移籍したポジティブなスタッフ1人と、
新規採用したネガティブなスタッフが1人、
あとの3人はどちらでもなく、両者の狭間にいる状況。

 
一通り話を聞くと、キャッシュフローコーチは尋ねた。

「なるほど、そんな状況になっているのですね。
佐藤分院長の様子はいかがですか?」

 
加藤院長は少し声のトーンを高くして答えた。

「それが、予想以上に頑張ってくれているんですよ!
本院にいた頃は私に遠慮してか、あまり発言が無かったのですが、
今は言うべきことを言うようになったようです。

さっきのネガティブなスタッフに対しても指導してくれているようで。

ただ、まだ慣れていないので、適切なアドバイスができずに悩んでいるみたいです」

 
本院にいた時の佐藤分院長は、加藤院長のもと意思統一された
スタッフに囲まれて、問題意識があまり高くなかった。

しかし分院に来て「出来ていない状態がどんなものか」を
目の当たりにしたことで、院長が日頃言っていたことの意味が腹に落ちた。

ダメな状態を見ることで、逆説的に良い状態が浮き彫りになることがある。

分院長経験が佐藤をリーダーとして急成長させていた。

 
加藤院長は続けた。

「スタッフのまとまりに課題はありますが、佐藤先生が分院長として
急速に頼もしくなってきたのは副産物でした。

今、まさに”鉄は熱いうちに打て”という感じで、
毎週彼とミーティングをやり、考え方を伝えているところです」

 
キャッシュフローコーチはうなずきながら答えた。

「なるほど、本院で浸透している理念や共通言語を、
分院にも浸透させるきっかけになっているんですね。それはすばらしい!

すると、当面の課題はどんなことでしょうね?」

 
加藤院長は答えた。

「分院長が、ネガティブなスタッフに引っ張られないよう、
その他のスタッフ、特に真ん中の3人が間違った方向に
引っ張られないように導くことでしょうか。

その上で、私から彼にアドバイスした方が良いことって何でしょうか?」

 
キャッシュフローコーチはしばらく黙考した後に答えた。

“あり方の徹底”と、“前置きトーク”の2つだと思います。

まず、今やられているように、当院の理念や行動指針、共通言語を
分院のスタッフに浸透させること。

ここは、院長との定期ミーティングですり合わせが出来ているので大丈夫でしょう。

もう一つの課題は、”医院のため”との大義名分で、
自分がやりたくないことを正当化するのを、いかに予防するか、です。

ネガティブなスタッフ1人が言っているのをそのまま許していたら、
時間の問題で他のスタッフもそちらに引っ張られますからね。

 
そこで当分の間、
『患者さんに価値教育や情報伝達すべきことに抵抗感がある場合に、
どんな前置きトークを入れれば良いかを考える』習慣を持つのです。

患者さんの健康維持に有益なホームケアグッズの存在と価値を説明する時は、
例えば、次のような前置きトークを入れて唐突感を出さないようにします。

 
『次に来院されるまでの間もお口の中を健康に保つために、
Aさんにとって大切な情報だと思いますので、お伝えしますね』

というように。

その一言があるだけで、相手の聞く姿勢が整い、こちらも伝えやすくなります。

一方的な説明は、ややもすると「押し売り」の印象を与えかねません。
それをやわらげる工夫は、適切な前置きトークを入れることです。

その考え方を共有できた後は、分院長だけでなく、スタッフと一緒に
前置きトークを考えるのも良いトレーニングになると思いますが、いかがですか?」

 
「それはいいですね!さっそく次の分院長とのミーティングで伝えてみます」

打ち手がハッキリした加藤院長の表情は晴れやかだった。

 

【今回のレッスン】

◎ある一言があるだけで、相手の聞く姿勢が整い、こちらも伝えやすくなることがある。
◎一方的な説明は、ややもすると「押し売り」の印象を与えかねない。
 それをやわらげる工夫は、適切な前置きトークを入れること。
 「どんな前置きトークを入れると良いか?」をミーティングで意見交換しよう。

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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