上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
発信している文章のニュアンスは伝わっている?
2021.11.22 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方安心安全ポジティブな場づくり着眼点
メールか、電話か、対面か。
今回は、コミュニケーション手段の使い分けに関するお話です。
メールやSNSの活用が仕事においても当たり前の時代になり、
何年も経ちます。
学生の頃からケータイメールに親しみ、
公私問わずメールでのコミュニケーションが当たり前になると、
つい何でもメールに頼り過ぎることがあります。
電話をかける億劫さや、つながらなくて掛け直す手間を考えると、
都合のよいときに送りっぱなしにできるメールはとても便利。
しかし、それが時としてかえって余計な手間とエネルギーを
奪う原因になることも。
ある歯科医院でのこと。
新しいスタッフが院長に対して送ったメールが原因で、
気まずいギクシャクした感じになっていました。
そのスタッフは衛生士歴10年、
この医院に中途入社して3ヶ月目。
仕事もテキパキこなし、衛生士としての能力も高い方です。
さて、院長との間になにがあったのか話を聞いてみると、
「医院の改善点を思いついたので、いくつか院長に
メールで提案したのだが、スルー(無視)されている」
とのこと。
彼女のメールを見させてもらうと、
ギクシャクの理由がすぐにわかりました。
文調が「〜はいかがでしょうか?」「〜をご提案します」
というトーンではなく、「〜してください」「〜は問題です」
というトーンでした。
つまり、彼女の文調は、受け手には「提案」ではなく
「命令」あるいは「ダメ出し」のように見えるのです。
もし対面で伝えたなら、にこやかな表情や声の抑揚で
もっとやわらかいニュアンスで伝えられるのでしょう。
ところが、文字だけ読むとそれが伝わらず、
部下が上司に命令しているような失礼な感じになり、
院長をカチンとさせてしまったのです。
有名なメラビアンの法則によると、
人の影響を与える情報として、
話の内容そのものの言語情報は7%、
声の大きさやトーンなどの聴覚情報は38%、
そして残り55%が見た目や表情、
ボディランゲージなどの視覚情報だそうです。
この研究結果の解釈の厳密な正否はともかく、
たしかに三日も経つと、中身はほとんど忘れているけど、
見た目の印象はなんとなく覚えていたりします。
ということは、電話でのコミュニケーションは
対面の2倍以上、難易度が高いということになります。
ましてやメールは10倍以上の難易度に!
よく「お詫びや高度な交渉は電話やメールで済ませず、会ってやれ」
と言いますが、これは誠意が感じられる、
という精神論だけではなく、それだけ伝わりやすいからでもあるのでしょう。
ニュアンスの誤解を招く恐れがあることは、
対面かせめて電話で伝えるようにしたいものです。
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▶︎「なぜ言っていることが伝わらないのか?」その理由は意図を伝えていないから。