上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
指示や提案に不満なく行動してもらうには、言葉の意味を明確にすること。
2022.09.07 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方安心安全ポジティブな場づくり着眼点
リーダーが部下に新たな提案をしたときに、
総論賛成、でも各論反対となって前に進まず
焦ったい思いをすることがあります。
今回の記事では、この「総論賛成・各論反対」を避けて
スタッフの賛同を得やすくするコツを紹介します。
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院長、あるいは上司が、部下に対して指示や提案をしたときに、
2パターンの反応があると思います。
1つは「全員が賛成する提案」、
もう1つは「賛否が分かれる提案」です。
「賛否が分かれる提案」とは、たとえば
「始業時刻の30分前には出社して、9時には
準備万端でスタートできるようにしよう」
というようなものです。なぜこれに反対する人がいるかというと、
そこになんらかの負担や犠牲(この場合、睡眠時間が減る等)
を感じるからですね。
では、「全員が賛成する提案」とは何かというと、
「それが実現したら、誰にとっても喜ばしい」
と感じさせる提案です。
それは入口は抽象度を高く(=具体度を低く)入り、
その次に具体度を高めて、その意味に言及するのがコツです。
一例を紹介しましょう。
ある歯科医院で、院長が全体会議の場で、
「そこにいるだけで元気が湧いてきて、気分よく働ける
”安心・安全・ポジティブな場”をつくろうよ」
と全スタッフに提案しました。
これは、抽象度が高いですね。
そして、誰にとっても喜ばしいことなので、
もちろん誰もが賛成します。
ところが実際には、その具体的なイメージが共有できず、
行動が伴わないケースがあります。
これまでの癖で、否定語や批判をする習慣が付いて
いる人は、よほど意識をしないとこれまでと同じことを
してしまうからです。
よって、「意識して変えよう」という気に
なってもらうことが必要。
そんな時に大切なのは、
具体度を高めて、その意味に言及することです。
そこで院長が続けます。
「安心・安全・ポジティブな場とは何かというと、
『どんなアイデアを言っても否定されず、
受け止めてもらえる、明るさに満ち溢れた場』
ですね。
その実現のためには、わたしたちがやれることは、3つある。
それは、”表情””言葉””態度”を
安心・安全・ポジティブなものにすることです」
ここまでスタッフがうなずいて聞いているのを確認して、
院長は続けます。
「まず表情はどうだったらいいかな?そう、”笑顔”だね。
笑顔が患者さんの心に与える影響は大きいよね。
もちろん、一緒に働く同僚だって気分がよくなるだろう。
次に言葉。これは、”肯定語”を使うということだね。
その反対は否定語で、
『でも、そうは言っても、無理、できない』という言葉です。
この代わりに、
『はい、いいね、やってみます、面白い』などの肯定語を
できるだけ使ってみるよう、意識してみよう。
そして、態度。それは、”クイックレスポンス”です。
何か呼びかけられたら、すぐに返事をして即反応されたら、
患者さんはうれしいし、院内なら上司はうれしいよね。
そんなことを当り前にやれるスタッフが働く医院なら、
そこには”安心・安全・ポジティブな場”が生まれ、
そこには同じ”安心・安全・ポジティブ”なエネルギーを持つ
患者さんやスタッフが引き寄せられると思うんだ。
ぜひ、これを今日からわたしも含め全員でやっていきたいと思う。
いいかな?」
このように、まずは抽象度の高い理想から入り、
具体度の高い各論に触れた上で、その意味に言及する。
人は意味を求める生き物です。
意味に言及することで、行動に移しやすくなります。
お試しください。
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▶︎何度言っても変わらないのは、言葉の定義が揃っていないから。