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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

価格交渉は悪?外注先の技工士に、罪悪感なく価格の相談をする方法とは?

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2019.08.03 執筆者:和仁 達也

お付き合いが長くなってくると他社よりも価格差があることをわかっていても価格交渉をする事は罪悪感を感じ、相談しにくくなりますよね。

取引先を変えるのも長い付き合いもあるから悪い気がするし…

となかなか言い出せない経営者もいると思います。

この記事では、罪悪感なく価格の相談をする方法と考え方をお伝えしています。

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加藤院長は、ひとり院長室にこもり、かれこれ1時間ほど思い悩んでいた。3年前からつきあっている外注技工士の伊藤に、技工物の価格についてどう相談を持ちかけるか、ということについてだった。

加藤が院長を務めるホワイト歯科は名古屋の医院で、地元の技工士の伊藤に技工物を発注してきたが、友人の紹介で3か月前から東京のある技工士にも発注していた。

すると、ものによっては、4割も安いことが判明。

その技工所は、仕事量が多いため、シンプルな案件であれば単価を低く設定できることが強みのようだった。ここまで価格差が開いていると、経営環境が厳しさを増している今、今まで通りすべてを伊藤に発注するのは無理があると加藤は考えていた。

しかし、だからといって長年の付き合いを簡単に価格だけで切り捨てることには違和感があり、心の整理がつかないでいた。

ちょうど今日は、経営キャッシュフローコーチの和仁との定例ミーティングの日。そこで加藤院長は、まずはそのことを持ちかけることにした。

一通り話を聞くと、経営キャッシュフローコーチは事情を察した様子でうなずきながら話し始めた。

「なるほど、たしかにそこまで価格差が開いていると、それは見逃すことはできませんね。
ところで、その東京の技工所は、『過剰な値下げで利益を削って体力を無くしている』ということはないでしょうか?あるいは、『安い代わりに品質が院長の基準に達していない』ということはありませんか?」

「はい、それはなさそうです。わたしの友人も、もう1年以上そこで発注して、その仕事ぶりと安定した品質を実感した上でわたしに紹介してくれましたから。多くの医院から特定の技工物を集中して受けることで、安くできる工夫をしているみたいです。

また、さすがに難易度の高い技工物はちょっとまかせにくいこともわかりましたが、一定の基準までの技工物であれば、大丈夫だと判断しています。逆に、今つきあっている技工所が、『簡単な技工物については割高だな』と感じていたくらいです」

お茶を一口すすりながら、経営キャッシュフローコーチは言葉を続けた。

「そうでしたか。だとしたら、その東京の技工所の価格設定は、品質を犠牲にした上でのものではなく、経営努力のたまものということですね。それに比べて、今おつきあいしている技工所が4割も価格が高いということであれば、それは、そのことを率直に伝えてみてはいかがですか?」

すると加藤院長は、苦い表情を見せて答えた。

「いや~、ちょっとひっかかることがありましてね。今の技工士の伊藤さんとは3年前からのつきあいなんですが、当時わたしが『よいモノは高くて当たり前』なんて言っていたこともあって、今になって価格交渉をしたり、価格が理由でつきあいを余所に変えたりしたら、『前に言っていたことと矛盾する』と指摘されそうで・・・。」

男気のある性格で、日頃から人づきあいを大切にする加藤院長としては、価格を理由に取引を変えることに、罪悪感を感じているようだった。

そこで、経営キャッシュフローコーチはある提案をしてみることにした。

「加藤院長、こんな感じで話をしてみる、というのはどうでしょう?

『1年ほど前にある経営セミナーに参加して、キャッシュフローコーチから”経費の見直しによるコスト削減は基本中の基本”と教わった。そこで、ウチも通信費や広告費など、余分な出費がどれだけあるかを見直してきた。(これは、事実そうですよね?)

その中で、技工物の価格相場もどんなものかと思い、情報を集めてみたら、かなりの幅があることがわかった。実際、ある技工物だと4割の差が出るものもある。
そこは大量生産スタイルだからこそで、その価格を伊藤さんに要求するのは無理があると思うのだが、どうだろうか。

そこで、今後、モノによっては他の技工所に発注することも出てくると思うが、理解してもらえますか?

もちろん、難易度が高いケースや付加価値の高いモノは高くても当然だと思う。実際、伊藤さんには、直接患者さんの状態をチェックする必要がある高度なモノやスピードが必要なものは安心してお願いしているし、これからもお願いしたいと考えている。

そういう高付加価値な技工技術をどんどん磨いて、付加価値を高めて他の医院からも伊藤さんに仕事の依頼がくるようになれば、長い目でみれば、お互いの発展につながる  と思うが、どうでしょうか?わたしがそうであるように、そんな高付加価値な技工士を求めている医院は他にもあるだろうから、どんどん営業したらいいし、わたしも機会があれば紹介もできると思う』

さらに、これは伝える必要はありませんが、加藤院長の腹づもりとして持っておかれるとよいことなので、お話ししますね。

今回はたまたま加藤院長が言い出したのですが、この経済情勢からすれば、技工所が歯科医院から価格交渉を持ちかけられるのは時間の問題ではないでしょうか?

ならば、早いうちにその覚悟を決めて、一日も早くそんな環境に対応できる準備をスタートさせたほうが、その技工士さんにとっても長い目で見たらよいのではないか、と。いかがでしょうか」

長い目で見たら、という一言に、加藤院長はドキッとした。

目先のしがらみや狭い目線で考えていた自分に気づいたからだ。

世の中は大きく動いている。世の中の環境の変化に常に目を配り、時間軸を長くとって考えることが経営者としては大切なことだし、それはスタッフをはじめ、外注先や関わる人たちにもその視点は伝えていきたいことだと再認識したのだった。

 

【今回のレッスン】

◎ 事業主は、価格競争に巻き込まれる分野と、巻き込まれにくい分野を客観的に観察しよう。

◎ 独自性を出して、希望の価格を提示できる理由を明快にして、そこをどんどん強化することで、お客さんに選ばれる事業体となる。それは、歯科医院も歯科技工所も、すべて同じこと。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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