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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

知らず知らずのうちに、お客さんが来店するのを妨げている!マーケティングのトゲとは?

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2020.07.15 執筆者:和仁 達也

集客において、「どうやったら人は集まってくれるのか」を
議論しがちですが、時に、それと同等以上に
「人が集まりたくても集まれない理由が隠れていないか?」
を考えることが重要だったりします。

今回は、そんな教訓のある事例ストーリーを紹介します。

ホワイト歯科の加藤院長は、
このところプライベートでイライラする出来事が続いていた。

しかし、自分がお客さんの立場で体験したことは、
そのまま立場をおきかえれば、医院の改善のヒントになることがある。

そう発想の転換ができる人は、イライラ体験もさほど苦痛に感じず、
むしろ「おいしいヒントが得られた」と
ポジティブに受け止められることがある。

先週末、結婚記念日に久々の家族旅行ということで、
東京のわりと豪華なホテルに泊まったときのこと。

家族が先にチェックインして、そのままショッピングに出かけ、
その後に仕事を終えた加藤院長がチェックインしたところ、
受付で思いがけないことを言われた。

「ご家族の方が先にチェックインされまして、
お2人分のお部屋のカギをお渡ししました」

そこで加藤院長は、「わたしのカギもいただけますか」と伝えた。

当たり前にカードキーを手渡されると思いきや、
受付スタッフから思いがけない返答が。

「いえ、ご家族分のカギをすでにお渡ししていますので、
よろしければスタッフが同行してお空けしましょうか」

「・・・?」

意味がわからず、再びしばしの間ができた後、
加藤院長は少し強い口調で伝えた。

「いや、家族はショッピングに出かけていて部屋にいないと思うし、
わたしも出たり入ったりするので、部屋のカードキーをもう1ついただけますか」

そう言った後に、スタッフはやっとカギを用意するそぶりを見せた。

加藤院長は、はっとした。
(あれ、ルームキーはカードじゃなくて、もしかして
立派な立体のカギなのかな?)

そう思い待っていると、手渡されたのは、
やはり普通の使い捨てのカードキーだった。

(訳のわからない対応だったな・・・)と思いつつ、
ひとまずチェックイン。

今回の宿泊プランには、夕食のブッフェがついていたので、
加藤院長は家族の帰りを待ちつつ、
先に1Fレストランでひとり夕食をとることにした。

しばらくすると、ショッピングから帰ってきた家族が
部屋に上がらずそのまま直接レストランに来た。

「あ~、ここ、ここ!」

と家族に合図すると、スタッフがにこやかに近づいてきた。

「いらっしゃいませ。チケットはお持ちですか?」

妻と息子は夕食チケットは部屋に置き忘れていた。

でも、ブッフェの終了時刻まであと15分程度だし、
軽くデザートを食べるだけでいいので、
まあ、大丈夫だろう、と思い、念のため

「ブッフェのチケットを部屋においてきちゃったんですけど、
(そこにいる)夫と同じプランなので大丈夫ですよね?」

と伝えると、スタッフから思いがけない言葉が。

「申し訳ありませんが、部屋に取りに行っていただけますでしょうか」

「・・・。」

そこで夫である加藤院長が、割って入った。

「いやいやいや、終了時刻まであと15分しかないし、
部屋まで取りに行っていたら、終わっちゃうでしょ?

軽く食べたいだけだし、部屋の確認をしてもらえば
わかることなんだから、なんとかならないの?」

「・・・お待ちください、確認してきます」

(・・・。何を確認しに行くんだろう?)

結局、上司らしき人がやってきて、大丈夫だとのこと。

加藤院長と家族は、すっかりシラけた気分になり、
さっさと食事を済ませて席を立った。

部屋に戻ってからも、加藤院長のイライラは消えることがなく、
妻に不満を言い続けた。

「さっきのチェックインのカギのことといい、
今の融通の利かなさといい、信じられない。

これが、リーズナブルなビジネスホテルならまだ理解できるよ。

でもさ、家族3人で1泊15万円も支払ったシティホテルの
ジュニアスイートの部屋だよ?絶対、おかしい!」

加藤一家がそのホテルを利用することは、二度となかった。

その翌週。
加藤院長が、医院の近くに3カ月前にオープンした
フィットネスクラブを初めて利用したときのこと。

一通り運動を終え、シャワールームに行くと、
ジャンプー、リンス、ボディーシャンプーの備え付けがない。

受付で言えば、手渡しで貸し出してくれるとのこと。

ただそれが小さな携帯用ではなく、大きくて重いポンプ式の
シャンプー、リンス、ボディシャンプーの3点セット。

ほかにも手荷物がある中、正直、シャワールームから受付まで
階段と廊下を往復して持ち運ぶのは、かなりわずらわしい。

(こんなの、初めからシャワールームに備え付けしておけばいいじゃないか!
なぜ、わざわざ受付で貸出にするんだ?)

そこで、「受付で備え付けにしてくれないか」と
リクエストしてみることにした。すると、予想外の答えが返ってきた。

「申し訳ありません。過去に持ち帰っていかれた方がいて、
受付で貸出という形にさせていただいています」

とのこと。納得のいかない加藤院長は、さらに続けた。

「本当?今までに何回くらいあったの?」

「えっ?え~、あの~、・・・・数回ありました」

これ以上、問答してもムダと感じた加藤院長は、
あれこれ言いたい言葉を飲み込み、その場を立ち去った。

加藤院長がそのフィットネスクラブを利用することは
二度となかった。

この一連のホテルやフィットネスクラブでのエピソードは、
翌日のキャッシュフローコーチの和仁とのミーティングの場にも登場した。

「それにしても信じられない!
あんな大きなポンプ式のシャンプーとリンスとボディーソープを
誰が持ち帰るのか?

百歩譲って、仮に何人かが持ちかえったとしても、
コスト計算して折り込めば済むことでしょう。
月1回盗難があったとしても、せいぜい1千円くらいのこと。

それをケチった結果、僕みたいに二度と来なくなるお客がいることを、
どうしてわからないんでしょうね!?」

それを聞いたキャッシュフローコーチは、苦笑いしながら言った。

「加藤院長、マーケティングコンサルタントの第一人者、
ジェイ・エイブラハムの言葉を借りると、そういうのを
”マーケティングのトゲ”って言います。

つまり、滑り台で上から下になめらかにお客さんに
滑ってもらいたいのに、途中にトゲがあると、
手と足でふんばって下まで滑ってくれないでしょ?

そんな感じで、いくら立派で楽しい滑り台を用意しても、
途中にトゲがあったら、お客さんは下までたどり着いてくれない。

ここから学べることは、

”ウチの医院において、マーケティングのトゲは何だろうか?”

ということかも知れませんね」

そう言われて、加藤院長は、ドキッとした。

患者さんは、気分が悪い思いをしてまで、
ウチの医院を選ばなくてはならない理由はない。

知らないうちに患者さんを脱落させている接客上のトゲはないか?

また、システム上のトゲはないか?

今日のスタッフミーティングで、さっそくこのテーマで議論することにした。

 

【今回のレッスン】

◎当院における「マーケティングのトゲ」は何だろうか?
◎トゲには、医院のシステム上のトゲと、スタッフの接客上のトゲがある。
両面で考え、予防策を打ちたい。

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▶︎人によって態度を変えていないですか? お客さんに二重人格的な態度は見られていますよ!

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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