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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

不安で人に任せられない人は、リスクをコスト計算に入れる発想を持とう。

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2020.08.02 執筆者:和仁 達也

人に任せるのが不安で、指示を出してもつい自分で全てやってしまう。

本当は任せたほうが人材も成長することを知っているが、
失敗が不安で任せられずに人材もなかなか育たない。

会社やお店の拡大や多店舗化をする際に、
クオリティの低下をはじめ、様々な不安がよぎり、
決断できないことがあります。

そのときに、どのような基軸で考えていけば
納得の結論を導き出せるか、の実例ストーリーを紹介します。

 

ホワイト歯科は、勤務医のキャリアアップについて
次のシナリオを示す課題に直面していた。

これまでは、チェア3台からスタートし、
増設を繰り返し、チェア7台まで拡張してきた。

しかしスペース的な限界で、これ以上は拡張できないところまで来ていた。

スタッフの定着はよく、これまでチェアの増設のたびに
ドクターや衛生士を採用してきたが、出産退職以外は
ほとんど辞める者もなく、みんな頑張ってくれている。

加藤院長はひとり院長室にこもり、
今後の医院のあり方について思いをめぐらせていた。

とりわけ、やる気のあるドクターたちの
次のキャリアアップをどうしていくべきか?

・優秀なドクターは、さらに自分の可能性に
チャレンジしたいという意欲を持っている。

・しかし、独立開業には不安が大きく、
経営者としてよりも医療者としてのスキルを磨きたい。

そんな勤務医にとって、ホワイト歯科が考えている、
「分院展開で、分院長はその医院のマネジメントを任され、
成果連動型で報酬が得られる」ことは、
魅力あるシステムになるだろう。

なぜなら、借金を抱えるリスクもなく、
人の採用やお金の心配などは理事長が担うので、
ドクターの本分である医療に専念できる上に、
自分の采配で医院を回して行けるからだ。

しかし、加藤院長には不安が3つあった。

1・加藤院長の目の行き届かない分院での医療ミスが、
分院のみならず本院の信頼をも落とすことにならないか?
という医療面のリスク

2・あるいは、院長の管理から離れることで、
スタッフの慣れ合いによって、サービスのクオリティが下がったり、
場の空気が乱れ、結果的に患者さんの不満を招くことはないか?
というサービス面のリスク

3・新たに借金をすることによる財政上のリスク

それらを考えると、

「何も欲を出さずに、今の医院のままで、
内容充実に努めればいいじゃないか。

せっかく無借金が視野に入ったのに、
ここでまた借金を増やすのか?」

とも感じる。

しかしその一方で、

「せっかく患者さんの支持を得られている以上、
また、縁あって集まってくれた優秀なドクターやスタッフたちに、
チャレンジの機会を与えてあげたい。

また、ホワイト歯科グループとして、影響力を広げたい
気持ちもある。一生のうちに価値を届ける範囲が広がり、
より多くの人の健康増進に関われるなら、幸せなことではないか?」

という思いも頭をよぎる。

 

そんな不安と欲求がシーソーのように行き来する中、
キャッシュフローコーチの和仁がやってきた。

今日は定例ミーティングの日だ。
加藤院長はここまで考えていたことを伝えたところ、
キャッシュフローコーチは分院展開構想に賛成とも反対とも言わず、
次の5つの質問を提示した。

1・分院展開すると決めた場合に、想定できるリスクは何か?

2・それを計画に織り込んだとして、最悪の事態は何か?

3・そのリスクを承知の上で、それでもメリットがあるとしたら、それは何か?

4・そのリスクを最小化する工夫として、何ができるか?

5・その上で、やる価値があると判断するか、否か?

 

加藤院長は、1つずつ熟考した。

まず1つめの質問については、先にあげた3つ
(医療面、サービス面、財政面のリスク)だ。

2つめの質問については、何だろう?
最悪の事態は、医院の評判が下がり、倒産か?

いや、そこまではいかないだろう。

その前にわたしが分院にも関わり、テコ入れすれば
採算が取れるレベルにはもっていけるイメージはある。

ならば、最悪の事態は、わたしが本院と分院の掛け持ちで
心身ともに疲れきることと、借金の返済のために引退が延びるくらいかな。

3つめの質問は、先に考えた通り。
優秀でやる気のあるドクターたちに、やりがいと成長の機会を
与えると共に、ホワイト歯科グループとして影響力を広げ、
より多くの人の健康増進に関われること。

これは、開業当初からやりたかった、大切な価値観だ。

4つめの質問は、リスクを最小化するには、
クオリティ管理のための分院長との定期面談や
全スタッフを集めての全体ミーティングを毎月怠らずにやることかな。

問題が起こってから手を打つのではなく、予防と同じで、
問題を未然に防ぐためのコミュニケーションの場を
優先順位高くやっていこう。

それから、新しく分院展開するには相応の支出も伴うから、
入り口が大切だ。すでに分院展開している先輩ドクターに、
気をつけておくべき事は何か、ヒアリングに行こう。

きっと、見落としていた盲点に気づかされるに違いない。

 

ここまで考えて、キャッシュフローコーチに思いを伝えながら、
院長は目に輝きを取り戻し口にした。

「分院展開、やる方向で考えます。
ただ、まだ見えていないことが多いので、
それをこれから調べて、リスクを最小化していけばいい、
って気がしてきました」

キャッシュフローコーチはうなずきながら答えた。

「そうですね。新しいチャレンジにリスクはつきものです。
大切なのは、そのリスクを事前に知り、
それを最小化する工夫を予めすること。

それでも残るリスクは、予め経済的にも精神的にも
コスト計算に織り込んで、
それを前提とした目標を設定すること
じゃないでしょうか」

 

【今回のレッスン】

◎分院展開など新たなチャレンジをするときは、次の5つの質問を投げかけてみる。

1・分院展開すると決めた場合に、想定できるリスクは何か?
2・それを計画に織り込んだとして、最悪の事態は何か?
3・そのリスクを承知の上で、それでもメリットがあるとしたら、それは何か?
4・そのリスクを最小化する工夫として、何ができるか?
5・その上で、やる価値があると判断するか、否か?

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎任せた仕事に口を出して部下に嫌な顔をされる前に「任せる」と「口を出す」の境目を決めておく。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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