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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

固定費削減ばかり注力する落とし穴!スタッフ増員しないことの売上の機会損失はいくら?

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2021.03.15 執筆者:和仁 達也

昨今では、固定費削減を考えている会社も多いでしょう。

確かに固定費削減でコストを抑えることは、
毎月出ていくお金を減らす意味でも重要でもあります。

ですが、過度な固定費削減の意識は、社内スタッフの疲弊を招き、
パフォーマンスを下げてしまうこともあります。

オペレーションで売上を上げることはできますが、
人員増加させることでしか売上を上がることができない場合もあります。

そこで、この記事は、固定費削減ばかりすることで、
売上の機会損失はどれくらいあるのか?を解説しています。

———————————————–

ここ数年間、ホワイト歯科では衛生士長の清水が
十分に育ってきていた。

そのためスタッフの採用と教育については
加藤院長の手を離れ、清水が責任感を持って担っていた。

そんな中、加藤院長は1つ気にかかることがあった。
それは、清水がその責任感ゆえに、
コスト削減意識が強過ぎるという点だった。

具体的には、そろそろ衛生士を1人採用した方が良いのでは
と院長は感じていたが、清水は

『人の採用は長期的に固定費アップをもたらすので、
よほど優秀な人でない限り、採用しない』

スタンスのようだった。

そのため、常に医院内は忙しく、
スタッフが疲弊しているように見える。

そのことをキャッシュフローコーチの和仁に
メールで相談してみた。

状況を理解したキャッシュフローコーチから、
「次の幹部ミーティングで、わたしから別の業種の事例を
紹介することで、清水さんに発想の転換を促してみましょう」
と返信があった。

スタッフミーティングの当日。

加藤院長と清水衛生士長、そしてキャッシュフローコーチの3人で
ミーティングはスタートした。
キャッシュフローコーチはいつもの調子で清水に話し始めた。

「今日は、はじめに他の業種の事例を紹介するのですが、
ここで得られる学びは歯科業界にもそのまま当てはまるので、
お話ししますね。

コスト削減意識の高いある製造業の会社で、
お金のブロックパズルを使って盲点に気づいた事例です。

社長からのコスト削減命令を過大に受けすぎた工場長は、
人件費を抑えることに意識がいき過ぎていました。

そのため、常に人不足状態の人員で機械を回すため、
病気などで欠員が出ると納期に間に合わず、
顧客からのクレームに追われる日々です。

『顧客からのオーダーはキャパ以上に入っているので、
生産体制を整えれば売上が増え、利益も増やせる』

のに、そこを見落としていたんですね。
盲目的にコスト削減にフォーカスしていたからです。

そこで工場長との面談中に、
クイズと称して紙を取り出して、
お金のブロックパズルで簡単なシミュレーションをしました。

せっかくなので、清水さんも一緒に考えてみてね」

清水は「わかりました」と答えるとペンを持ちノートを開いた。
キャッシュフローコーチは話しを進めた。

「お金のブロックパズルで売上100として、
人件費が40→42に増えたとき、
売上が同じなら利益は10→8に20%ダウンします。

工場長はそれを恐れて、人を入れないという判断を
していたわけです。これは、理解できますね? 」

清水が「それは、そうですよね」とうなずくのを
確認して、話を続けた。

「ところが、人員増によって売上が100→110に
アップするとしたら、利益はどうなるでしょう?

つまり、人件費が20万円増えたら、
今より売上が100万円アップするレベルです。

その答えは、利益は10→15に50%アップする、
という結論でした。

ちなみにこれは、その会社では現実的な数字でした。
歯科医院で言えば、衛生士が1人採用することで、
取りこぼしていた患者さんを月200人、
1日あたり10人診れるレベル
(1人あたりの患者単価を5千円とする)です。

ここまで清水さん、イメージできますか?」

 

 

ブロックパズルの図を見ながらしばらく考え、
清水は理解できた様子で「なるほど」とつぶやいた。

キャッシュフローコーチは続けた。

「そのとき、工場長はびっくりしていたんです。
『えっ!売上が10%アップしたら、
人件費が増えても利益は50%もアップするんですか!?』
ってね。

もちろん、一方では人を採用すれば
長期に渡って固定費が増えるので、

『それに見合う受注が得られるのか?』

などメリット・デメリット両面から検証する必要があります。

こういうことって多くの会社で起こっていて、
実は歯科医院でも同様なのです。

必要以上にスタッフを採用することは
もちろん避けるべきでしょうが、

『患者さんがたくさん来てくださるのに、
スタッフが足りなくてアポが何週間も先にしか入れられない。
しかも空いているチェアがある』

のであれば、むしろスタッフを採用して、
チェアの稼働率を高めて、より多くの患者さんを
診てあげる方が、患者さんにとってもいいし、
医院の業績的にもいいし、何より一緒に働くスタッフも
安心して有給がとれたりして、“三方良し”かも知れません。
どう思いますか?」

「そうだったんですね。わたしは今まで、
人を採用することは固定費が増えるので、
少し足りないくらいの状態にした方がいいと
思い込んでいました。
それが機会損失になっていたなんて、
思いもしませんでした。。。

院長、それだったら、衛生士をもう1人、
採用したいと思いますが、いいでしょうか?」

院長はニッコリ笑って頷いた。
清水衛生士長は、今まで見落としていた盲点に気づいたようだ。

 

【今回のレッスン】

◎『患者さんがたくさん来てくださるのに、
スタッフが足りなくてアポが何週間も先にしか入れられない。
しかも空いているチェアがある』のであれば、
むしろスタッフを採用して、チェアの稼働率を高めて、
より多くの患者さんを診てあげるのも一案である。

◎その方が、患者さんにとってもいいし、
医院の業績的にもいいし、何より一緒に働くスタッフも
安心して有給がとれたりして、“三方良し”となることもある。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎週3勤務のパート・スタッフが常勤化するには?スタッフが増員しても医院の利益を圧迫しないシナリオづくり

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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