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社員を巻き込みビジョンを実現する キャッシュフロー経営って?

社員の危機意識を高める為に社長の危機感を伝えるには?

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2019.08.01 執筆者:和仁 達也

社員に危機感が足りない!
と感じている経営者は多いでしょう。
会社のことを常日頃考えている社長と、
目の前の仕事をこなしている社員では危機感に対しての感じ方は違うのですが、
社員も社長と同じように社長のビジョンを共有して、危機感を持って欲しいですよね。
この記事では、社員へ危機感が伝わらない理由と、上手に伝え、
同じ方向を向いてもらうための考え方をお伝えしています。

■なぜ社員には社長の危機感が伝わらないのか?

社長が会社のお金をよく理解し、何をすべきかがわかった頃に、
実は新たな問題が顕在化します。

それは、社長と社員の危機感のズレです。

社長からすると、平和そうな表情で
昨日と今日が何も変わらないような社員の仕事ぶりを見るにつけ、

「会社がこんなに大変な状況なのに、よくそんなノホホンとしていられるな!?」

と腹立たしく感じることも一度や二度ではないでしょう。

この危機感のズレは、どこから来るのでしょうか?

「社員の能力が低いから?」

「社員にやる気がないから?」

たいていの場合は、そのどちらでもありません。

ズレの原因は、社長の頭の中と社員の頭の中にある
「情報量の不一致」から生じるのです。

社長には見えていて、社員には見えていない情報があるから、
現状の捉え方にズレが出て、それが危機感のズレとして映る のです。

「では、現状認識を社員と共有するにはどうすればいいのでしょうか?」

それが今回の記事のテーマです。

そこには、社員の誤解から「優秀な社員が退職」したり
「社長への尊敬を失う」などの落とし穴も潜んでいるので、
それを踏まえて具体的にお話ししていきましょう。

 

落とし穴①「ウチの会社、そんなにピンチなのか?」と誤解される怖さ

まず、社員と会社の収支状況を共有するときに
気をつけなければならないことは、
社員に「必要以上に心配させない」ことです。

本当は業界平均と比べれば中の上くらいの状態なのに、
社長が「ウチは資金繰りが厳しいんだ」「ギリギリでやっている」
と連発することで、(この会社、もう1年ももたないのでは!?)と
誤解した優秀な社員が、先手を打って退職してしまう、
なんていうことがあってはお互いに不幸です。

したがって、過不足なく今の会社の状況がどうなのかを
伝える工夫が必要です。

そのコツは後で具体的にお話ししますが、ポイントは

「全体の中における当社の位置づけ」を客観視して伝える

ことです。

 

落とし穴②「社長はお金の話ばかり、亡者か?」と誤解される怖さ

もう1つ気をつけておきたいことは、
社長が「お金、お金」と連発すると、
とくに最近の若い社員は興ざめしてしまうところがあります。

場合によっては、「社長の金儲けのために
俺たち働かされているんじゃないか?」という気持ちになって、
社長が数字を口にするのに反比例してモチベーションが下がる
ことすらあります。

さらに言うと、一般企業ならまだしも、
それが医療機関ならなおさらです。

わたしは歯科業界とも深い関わりがありますが、
たとえば歯科医院の院長が

「1日60人の患者が必要だ!」

「今月は売上目標に到達していない!」

なんて連呼した場合、スタッフはどう感じるでしょうか。

「院長は、医療人なのか、商売人なのか、どっちなの?
って気持ちになります」

そうですよね。もちろん本来は、
歯科医院も会社と同じで、永続するためには利益が必要なのですが、
お金や数字のことばかり言い過ぎると、
スタッフがシラけてしまうところがあります。

したがって、「その数字にはどういう意味があるのか」を
社員の共感を得られる形で伝える工夫が必要です。

これら2つの落とし穴を避けて、
きちんと社長の頭の中の情報を社員の頭の中に届けることが大切。

そのやり方をこれからご紹介しましょう。

 

「社長が数字にこだわる意味」を社員に正しく伝える!
キャッシュフロートーク★7ステップ

ここでは、前述の歯科医院を例にしてお話ししましょう。

この歯科医院では、1日平均55人の患者さんが来ていますが、
院長は1日60人を目標にしています。

収支構造は、利益は出ているけど、返済をするには足りないので、
その分を借りて返す状況。

つまり、院長の感覚的には自転車操業という感じです。

院長は、決して自分だけが良くなりたいわけではなく、
患者さんにも社員にも幸せになってもらいたい。

そのために、社員には有給も100%消化を奨励し、
夜遅くまで働いている同業者が多い中で、
主婦のパートスタッフが多いことに配慮して、
夕方6時には退社できるようにしています。

そんな恵まれた環境においても、社員からすれば
「それが当たり前」になっていて、
良い点よりも悪い点に目が行きがち。

そんな中で、「院長が1日60人を目指そう」としている
ことの意味をスタッフに理解してもらうにはどうすればいいか?

それが次にご紹介するキャッシュフロートーク★7ステップです。

どんな業種にも応用可能なので、みなさんの会社に
当てはめながら読み進めてみてくださいね。

 

Step.1 会社のお金の流れの全体図を教える

最初に1つ注意点があります。

社員に情報を共有するからといって、
くれぐれも会社の具体的な数字をいきなり出さないでください。

ましてや、決算書や月々の試算表の数字の羅列した表を
配布するのも論外です。

なぜなら、情報量が多過ぎて、
社員はどこを見てよいかわからなくなるからです

そんな状況の中、社長が情熱を込めて説明したところで、
社員の目は資料のどこを見ればいいのかを探すのに精一杯で、
社長の言葉は上滑りして右から左へ流れてしまいます。

そこで、第一ステップは「会社のブロックパズル」をつかって、

「会社の中にどのようにお金が入り、
どのように出ていき、いくら残るのか」

を一般論として教えます。

それによって、社員はこれから始まる社長の話を
受け止める用意ができるのです。

 

 

「たった1枚の図で会社のお金の流れはすべてわかる!「お金のブロックパズル」の詳しいレクチャーはこちら

 

この図は一度説明されただけでは、
社員にとってみればその他の膨大な日常業務に
埋もれて忘れ去られています。

なので、以前に説明したことがあっても、

「大切なことだから、復習のつもりでノートにメモしながら聞くように」

と促すぐらいがちょうどいいです。

 

Step.2 会社が今、どのステージにいるのか、を示す

前に、社員に過不足なく今の会社の状況がどうなのか
を伝えるためのポイントは

「全体の中における当社の位置づけ」を客観視して伝える

ことだとお伝えしましたね。

その方法の1つは、
「収支構造にはレベル1からレベル6まである」
という話をすることです。

次の図のように、レベル1の「存続ピンチ会社」から
レベル6「優秀無借金会社」まで6段階ある中で、
当社は今どこにいて、次に目指すのはどこなのか。

ちなみに前述の歯科医院では、
現状はレベル3「やや銀行依存会社」でした。

 

 

 

Step.3 会社がこれから目指しているステージを示す

そしてこの歯科医院が次に目指すのは、レベル4「自立会社」です。

 

Step.4 そこに到達するための条件を示し、他の案を社員にも考えさせる

この歯科医院がレベル4に到達する条件は、
「1日の来院数を現状の55人から60人に増やすこと」です。

幸い、この医院は人気で多くの患者さんが
かなり先の予約を入れてくれているので、
段取りの改善や社員の動きをスピードアップすることで
十分可能な目標です。

もちろん、「客数を増やす」以外にも
「客単価のアップ」「リピーターを増やす」など
キャッシュフロー目標を達成する道はあります。

なので、いくつか選択肢を示した上で、
どの道がベストかを伝えます。

なお、不満を言うだけでアイデアを言わない
社員がいる場合には、

「これよりも良い案がある人は教えてほしい」
と社員にも考えさせるのも手です。

 

Step.5 そこに到達したときの明るい世界を語る(会社、社員、お客さんそれぞれのメリット)

前にお伝えしたように、社長がお金や数字を連呼するほどに、
社員はシラケてしまうのを避けるためには、

「その数字にはどういう意味があるのか」
を社員の共感を得られる形で伝える工夫が必要です。

それは、そこに到達したときにどんな明るい世界が待っているのか、
を語ることです。

それも、会社、社員、お客さんのそれぞれにとっての
意味を語りましょう。

例えば先の歯科医院の場合、
1日平均60人を達成することは次のような意味を持ちます。

・ 医院(会社)にとって
→銀行から借りて返す自転車操業から脱却して、
本当の意味で健康的な黒字企業になる。

・ 社員にとって
→資金繰りが安定することで雇用が永続し、
成果を分配する原資も捻出できるようになる
(たとえば60人に到達すれば1人300円の大入り袋、
さらに65人なら500円の超大入り袋を分配する)」。

・ 患者さん(お客さん)にとって
→スタッフがスピードアップすれば、患者さんは待たされなくなる。
また、より多くの患者さんが当院の診療サービスを
受けられるようになり、すなわち私たちがより多くの患者さんの
健康増進に関わることができる。

 

Step.6 ビジョンや理念との整合性を語り、意味づけする

この歯科医院の理念は、
「家族紹介率100%のデンタルエデュケーション・クリニックを目指す」
です。

つまり、「虫歯を治療して終わり」ではなく、
「一生虫歯にならず、自分の歯でおいしくご飯を食べられる」
ために必要な教育と診療を患者さんに提供する。

その結果、たとえば奥さんが通っているうちに
子どもや夫も連れてきてくれて、気がつけば一家揃って通ってくれる。

家族揃って同じ歯科医院に通うことで、
お互いのお口の健康に気を配り合い、
予防の意識も高まっていく、そんな世界観を提唱しています。

それを踏まえ、
スタッフの段取り改善とスピードアップを目指すことは、
患者さんに家族の紹介を促す会話が生まれるので、
家族紹介率100%につながります。

また、患者さんにエデュケーション(教育)を施すためには、
スタッフ教育は不可欠です。

その点、1日平均60人を達成できれば、
医院も時間的・経済的にゆとりが生まれ、
スタッフ教育にも投資できるようになります。

すなわちそれは、医院の理念の実現につながります。

 

Step.7 命令ではなくLet’s でベクトルを揃える

「その実現のための条件は、
現状の55人から60人への1割のスピードアップです。

段取りの改善と動きの効率化の工夫、そして
一人一人の意識の持ち方。それで実現できます。

今年この目標が達成できれば、いったん身に付いた
スピード感は落ちることはないので、その後はラクになると思う。

だから今年1年が勝負です。

どうだろう? みんなの幸せのため、医院の理念実現のため、
一緒にやってみませんか?」

そんな感じでLet’s「〜しよう」で締めくくります。

つい癖で「〜してください」「〜しなさい」と
命令口調で言う人がいますが、一般的に人は
他人から命令されたくないものです。

本人の自主性を促す意味でも、締めくくりは命令ではなく
Let’sで締めくくることをお勧めします。

 

■キャッシュフロートーク成功のための3大ポイント

このキャッシュフロートークが社員の共感と理解を得て、
行動を促すためには、思いつきでテキトーにしゃべってはいけません。

トークを予め設計することが肝心。

そしてその際に押さえておきたい3大ポイントがあります。
それを簡潔にお伝えしておきましょう。

 

① 安心感と緊張感の両立

このキャッシュフロートークの目的は、
社員に同じ危機感を持ってもらい、行動してもらう ことです。

そのためには、適度な緊張感を与える必要があります。

と同時に、「倒産寸前なのでは!?」などの誤解がないよう、
安心感も必要。その両立を意識してトークを設計します。

 

② 会社と社員の幸せの一致点の追求

会社の幸せと社員の幸せがあるとします。

その社員が今この会社に所属しているのは、
程度の大小こそあれ、そこにお互いの幸せの一致点があるからです。

それは「生活費を稼げるから」というレベルから
「人生のミッションを果たす場が与えられるから」
というレベルまで様々ですが。

そして、人が一番興味があるのは、自分の幸せです。

自分がある程度、満たされてこそ、周りの幸せにも気が向く。
そんな人が大多数ではないでしょうか。

ならば、
会社と社員の幸せの一致点はどこにあるのか、
そしてどうすればその面積は広がるのか、
に意識を向けてトークを設計します。

 

会社の幸せ       社員の幸せ

この一致点の面積を広げる

 

③ ビジョンや理念との整合性

人は、「今やっていることの中に意味を見出したい」生き物です。

その意味は、「生活費を稼ぐため」という
日常レベルのことだけでなく、

「大いなることのために事を成す」

ようなスケールの大きなこともあっていいでしょう。

それは会社で言えば、ビジョンや理念の実現です。

それとどう関連があるのか、をきちんと結びつけることで、
提示された目標や指示を完遂しようという動機が強まります。

 

■口ベタな社長のためのとっておきの秘策!

さて、トークの設計ができたところで、
これをすべて社長が一人でしゃべるのは、
よほど弁の立つ人でない限り難しいかもしれません。

そこで、現実的で簡単、かつ
もっとも効果的な方法を紹介しましょう。

それは、Step1からStep6までは顧問税理士など
第三者にしゃべってもらい、最後の締めくくりのStep7だけを
社長が熱く語る、という二人三脚作戦です。

この役割分担が一番スムーズです。

もっとも、このように社長と社員の間に立って、
経営数字を使ってコミュニケーションのズレを解消できる税理士は、
今はまだそれほど多くはないかもしれません。

ただ、もし幸いなことに、みなさんの顧問税理士が
そんな協力をしてくれる方なら、この記事を見せて
「こんな話をしてもらえませんか」と、
相談してみてはいかがでしょうか。

今回の記事が、あなたの会社の発展のお役に立つことを願っています。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。

なお、この全員参加経営(オープンブック・マネジメント)の実践法について和仁が行なったセミナーを収録したDVD教材はこちらです。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書多数。

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