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社員を巻き込みビジョンを実現する キャッシュフロー経営って?

適正な労働分配率を踏まえた役員報酬の決め方

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2020.08.12 執筆者:和仁 達也

社長と社員の大きな違いの1つに、
「社長は自分の給料を決められる」点があります。
つまり、役員報酬をいくらにするかを自分で決められます。

ところが実際には、
「いくらの役員報酬にするのが適正なのか?」
と自問自答しながら、納得の判断ができずにいる社長も
少なくないようです。

会社全体の人件費は、「粗利に対する人件費の割合」である
労働分配率を目安にして決めることができます。

話をシンプルにわかりやすくするためにおおざっぱに言えば、
50~60%なら利益が出やすい生産性の高い収支構造であり、
70%超なら粗利に対して人件費が高過ぎて
利益が出にくい生産性の低い収支構造と言えます。

そこで今回は、適正な労働分配率を踏まえた
役員報酬の決め方についてお伝えします。

 

役員報酬は何によって決められているのか

役員報酬を決める際に判断の前提となることに
「業績の良し悪し」があります。

つまり、業績が悪い時は、
決算書が赤字にならない範囲で社長の役員報酬を決めたりします。
銀行の顔色を伺うなどの理由で、赤字を出すことは避けたいからです。

この場合、社員の給料ボーナスのカットや、
その他のコストカットを試みるのは当然ですが、
社長の気持ち1つで大きな金額が変わる役員報酬は
手をつけやすい費用の1つといえます。

一方で、業績が良い時はどうでしょうか?
今度は納税額の兼ね合いで、役員報酬を決めたりします。

つまり潤沢な利益を会社に残すか個人で受け取るか、
の判断になります。

その場合、所得税と法人税の税率の兼ね合いで
より手元にお金が残る方を選択し、
「これ以上役員報酬を増やしても、税金で持っていかれるだけだから」
とのことで役員報酬の上限を決める人もいるようです。

このような決め方を、あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか。

ところがこの判断方法では、何だかモヤモヤしますよね。
その理由は何でしょうか?

それは、判断基準が社長の外側にあるからです。

つまり社長の意思で決めているのではなく、
外部要因によって“受け身的に決めさせられている”ところに
違和感を感じるのではないでしょうか。

そこで、能動的に決める役員報酬の考え方についてお伝えします。

 

能動的に決める役員報酬の考え方

まず初めに大切なことは、
「そもそもいくらの報酬を欲しいのか?」
を考えてみるということです。

つまり、
「いくらの役員報酬をもらっても良いのか?」
ではなく、
「いくらの役員報酬をもらいたいか?」
を考えてみるのです。

ここで大事な事は2つ。
1つは社長個人のライフプラン、
もう1つは、会社の長期プランです。

まず社長個人のライフプランについてですが、
表計算ソフトで、横軸に年数を取り、
縦軸に家族の名前を書き出します。

そして各年ごとの家族の年齢を入力して、
その下に家族な主なライフイベントを入力します。
子供の入学や卒業、そして独立など。
そして、社長自身の引退時期も入れましょう。

それに伴って、毎年いくらの支出が発生するか、がわかり、
結果として、いくらの収入が必要か、が見えてきます。

そして、その希望収入について
「絶対必要な必達収入額」と
「このくらいもらえたら嬉しい挑戦収入額」の
2種類のプランを立てるのです。

つまり、ライフプランを策定することを通して、
中長期的な視点で欲しい役員報酬額を算出してみるのです。

多くの場合、「役員報酬はあればあっただけ嬉しい」
と言うことで、明確な希望額を言えない人が多いようです。

それは、このようなライフプランを書いていないため、
根拠を持っていないからです。

したがって、能動的に役員報酬を決めるはじめの1歩は、
ざっくりとで良いのでライフプランを作ってみることです。

また、「社長が社員の何倍もの報酬を受け取ることに
罪悪感がある」ケースもあるようです。

しかし、わたしは社長は少なくとも
社員の3倍以上の報酬を受け取るべきだと考えています。

詳しくはこちらの記事に書きましたが、
社長は一人で何役も担っているからです。

▼人件費の考え方を解説!労働分配率から人件費を
いくらまで出せるのかコントロールしよう!

そして一方で、会社の5年、10年、20年という
長期のプランを同様に書き出していきます。

その時に、売上や粗利、固定費、利益がどのようになるのかを想像し、
個人のライフプランとの整合性をイメージしてみます。

つまり、
「社長が望む役員報酬額」と「社員に支払いたい給料やボーナス」
の合計である人件費がいくらか、を算出し、
それに見合った粗利や売上を逆算していきます。
(このとき、労働分配率は当然、適正なものとなる)

すると、いろいろなことに気がつくことでしょう。

例えば、
「もっと早いペースで会社を発展させなければ」とか、
「もっと生産性の高い仕事のしない仕方をしなければ」
「挑戦収入額と、社員に払える給料の差があり過ぎて
罪悪感を感じる。もっと払ってあげたい」
と言うように、今まで気づかなかった課題が
浮き彫りになることもあります。

このように、
自分は一体いくらの役員報酬が欲しいのかを算出することにより、
ビジネスのモチベーションが上がり、行動が加速することもあります。

もし、「自分の望む報酬額が特にない」のであれば、
この機会に、ご自身のライフプランや会社の長期プランを
紙に書き出してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎人件費の考え方を解説!労働分配率から人件費をいくらまで出せるのかコントロールしよう!

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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