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社員を巻き込みビジョンを実現する キャッシュフロー経営って?

「社員の危機感がない」と感じる社長に知って欲しいこと

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2021.08.30 執筆者:和仁 達也

向上心や理想の高い社長ほど、社員の動きを見ていて
「危機感のなさ」にイライラするケースは多いものです。

比較対象が社長自身なので、どうしても相対的に物足りなく
なるのは仕方がないのですが、放置もできない。

そこでこの記事では、

「いったい会社では何が起きていて、どこに問題があるのか」

自社の状況を俯瞰でとらえ、対策のスタートを切る
ための方向性を見出すヒントを提供します。

 

「社員とのギャップが埋まらない・・・」
でも、やるべきことのうち、すでに80%はできている!

「ウチの社員、もっと考えて動いてくれたらなあ」
「彼は部長なのに、どうしてもう少し経営者的発想を持てないんだろう?」
「いろいろできることはやっているはずなのに・・・」

そんな悩みをかかえる社長の話を聞いていくと、
たしかにいろいろと考えて実践していることがわかります。

たとえば、

・社員の体調を気遣って、積極的に声をかけてあげている。
・自宅に招いてご飯を食べさせて、家族の一員のように扱っている。
・誕生日や忘年会などのイベントを開催し、
 社員と懇親の機会を設けている。
・スキルアップの研修やセミナーに積極的に参加させ、
 成長を支援している。
・パソコンやソフトは出来る限り性能の良いものを用意し、
 仕事のしやすい環境整備を心がけている。
・毎月の小さな目標を達成したら、歩合給料を支払っている。
・社員が退職したら、すぐに採用案内を出して、
 十分な人員を確保すべく動いている。
・常に最新のセミナーに参加して、自社に足りない課題を
 見つけ出し、改善を図っている。

などなど。

つまり、悩みながらも社員とコミュニケーションを取り、
社員が能力を発揮できる環境をつくるために、
これまでにかなりのことに取り組んでいるのです。

ひょっとすると、あなたもそうではないでしょうか?

決して何もしていないわけではありません。
すでに社長としてやるべきことのうち、
70~80%のことはやれていることに自信を持ってください。

そして、あとほんの20~30%を補うことで、
会社が飛躍し、次のステージに到達できるとしたら、
それをやってみたいと思いませんか?

コンテンツサイトでご紹介するマネジメント法はまさに、
みなさんがすでに行っていることにあと20~30%の
ブランクを埋める方法論になると私は信じています。

かつてのように、社員が与えられた仕事をただ確実に
こなしていればよかった時代もありました。
しかし今は違います。

環境変化が早い時代においては、
社長がいちいち指示を出さなければ社員が動かないようでは、
変化に対応していくことができません。

では、どうしたら社員が自ら考え、
動いてくれるようになるのでしょうか?

社長であれば、自らリスクを背負い、志を持って
会社を立ち上げたこともあって、
人一倍考えぬき、行動します。

また、様々なセミナーや交流会に参加して、
新しい発想や考え方を学び、それを事業に取り入れようとします。

しかし一方の社員はといえば、たいして頑張らなくても
生活できるだけの給料を毎月もらえます。

そんな社員に対して、いきなり社長と同じことを期待するのは、
ちょっと無理があるというもの。

つまり、

● 社長=自分が考えてどんどん行動しないと会社はつぶれてしまう

● 社員=言われたことだけやっていれば、それほど
 頑張らなくても毎月給料がもらえる

これでは、いくら社長が

「もっと顧客を訪問して、ニーズを聞き出してこい!」

と発破をかけても、社員には社長の危機感があまり伝わりません。

その結果、社長はがっかりします。

「ウチの社員は、わかってくれない」と。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

その理由の1つは、
社長と社員が持っている会社の経営状態についての
情報量が圧倒的に違うことです。

社長の頭の中には、会社のビジョンや数字の計画が入っています。
紙に書き出していなくても、感覚的にはわかっている人は多いです。

しかし、そのビジョンや計画をどこまで社員と
共有できているでしょうか?

また、社長自身も、どこまで具体的にビジョンや計画を
示すことができているでしょうか?

そもそも頭の中にあるビジョンや計画を、
具体的な形で紙に書き出すことはできていますか?

紙に書いていないということは、それだけ具体的ではないのです。

その場の思いつきで断片的な話をしても、
具体的な全体像を示さなければ、
社員に正確に伝えることはできません。

そこで、

「経営情報を全社員(または主要メンバー)で共有して、
会社の方向性と社員個人のやり甲斐の方向性を揃えよう。
そして会社の業績に連動して報酬を受け取れる仕組みをつくろう」

ということで注目されている経営手法に、
オープンブック・マネジメント(OBM)、すなわち
ガラス張り経営があります。

 

これを導入すると、結果的に次の3つのことができます。

①お金の悩みから解放される
②社長として、主観的・客観的に納得感のある意思決定ができる
③大胆なチャレンジがやりやすくなる

 

私はこのOBM導入支援のコンサルティングを
主に社員30人以下の小企業を中心に20年以上行なってきました。

この記事では、ノホホンとした社員がなぜかいなくなる方法を
ご紹介していきますが、そこではこのOBMという
マネジメント法が鍵になります。

 

会社に余裕がないのに、なぜかノホホンとしている社員

これは、社員に危機感のない、ある会社の風景です。
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月末に行なう業績会議で、社長の怒号が会議室に響き渡った。

「前年同月対比90%!目標には大きく未達!」
「先行投資で人も大量に採用したが、まったく芽を出す気配がない!」
「このままじゃ、来月のボーナスはなしだ!」

カラカラになった喉を手でさすりながら、
社長室に戻った社長は一人つぶやいた。

「あぁ~、みんな全然ピンと来てないなあ。
もう最初から諦めているんだろうか!?」

決して、自社の状況を社員に伝えていないわけじゃない。
毎月、売上実績も報告しているし、年初に売上目標も伝えたはず。

目標に到達しなければ、利益が確保できなくなる。
そうなれば、借金の返済もできないし、ボーナスも払えなくなる。

「みんなで行こう」と楽しみにしていた社員旅行も
このままでは取り止めにせざるを得ない。

「何とかしよう」という気持ちすら持っていない社員がいる。

「何とかしよう」という気持ちは伝わってくるけど、
行動に結びつかない社員もいる。

目標に向けて何をすればいいのかを考えてわからないなら、
上司や私に相談すればいいのに、そのような気配もない。

なんとか目標達成できるように、
私一人がこれだけ考えているのに、
どうして皆ノホホンとしていられるんだ!?

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これに近い光景、あなたは思いあたりませんか?

 

ノホホン社員とは?

このように、会社の置かれている状況、
しいては自分の置かれている状況をよくわかっておらず、
はたから見て「ノホホンとしているように見える社員」
のことを、私はノホホン社員と呼んでいます。

このノホホン社員には、その重度別に3段階があるようです。

重度① 言われたことだけしかしないノホホン社員

このタイプは、気が回りません。1を言われて1しか動きません。
機転が利かないので、工夫をしようという姿勢も見られません。
「言われたことだけをやる」ことが彼の基準のようです。

重度② 緊張感がなく同じミスを何度も繰り返すノホホン社員

このタイプは、失敗から学ぶことをしません。
上司に叱られたときは、身体をこわばらせ、表情は固まり、
一応神妙な顔をしています。

しかし頭の中では、「あ~あ、やっちゃったなあ」という
後悔の念がグルグル渦巻くだけで、
「これからはどうすればこのミスを防げるだろうか?」
という対策を考える方向にはまったく動いていないようです。

重度③ こちらが熱く話してもヒョウヒョウとして反応がなく、
周りのエネルギーを吸い取っていくノホホン社員

このタイプは、言われたことしかやらず、
しかも同じミスを何度も繰り返す上に、
励ましても注意しても、あまりリアクションがありません。

当事者意識がなく、何を話してもどこか他人事のように
受け止めているようにも見えます。

何を言っても反応が薄く、あまりにも教育のし甲斐がないので、
上司や社長はこの社員にまるでエネルギーを吸い取られる
ような感覚さえ覚えています。

 

ノホホン社員にエネルギーを食いつぶされる社長の悲劇

このようなノホホン社員を抱えている会社では、
社長はいろいろと大変な思いをしています。

代表的なケースを5つご紹介しましょう。
あなたは当てはまるケースがありますか?

 

【その1】 ノホホン社員を食わせるために出稼ぎに走り回る社長

来年以降の計画を見越して、営業社員として採用したA君。
しかし、当社の営業は商品知識の習得や業界慣習に
慣れるまでに時間がかかるので、1年間は収入は見込めない。

当然それを覚悟で採用したので、A君の給料は
借金をして払うことにした。

採用して半年が経過したが、A君はまったく仕事を覚える気配がない。
しかも、同じミスを繰り返す。
経験不足を補おうという自発性も全く見られない。
前の会社で何をやっていたのか、不思議で仕方がない。

イライラ感が募っているときに、総務部長が社長室に入ってきた。
彼のひと言が、私の怒りを頂点にヒートアップさせた。

「そう言えば半年前に入ったA君ですが、
先日の営業会議でボーナスの心配をしていましたよ。
『一年間、まったくボーナスが出ないのって、
ふつうなんですか?』なんて聞いてきて・・・」

(なに~、初年度はボーナスを出さないことは
了承済みのはずだろうが!それどころか、自分の給料分も
全く稼いでいないのに、よくそんなことを口にできるもんだ。
借金をしてまで給料を払っているこちらの気持ちも少しは考えてみろ!)

血圧があがる瞬間であった。

 

【その2】 すべての決裁案件が社長に集中。いつまで続く、この自転車操業!?

名古屋での3日間の出張から帰ってきた。
事務所に戻ると私の机の上には決裁待ちの資料が
山のように積み上がっていた。

(たった3日空けただけで、こんなに決裁案件がたまるとは。。。ハァ~)

ため息をつきながら決裁案件を見てみると、
「社内の忘年会の会場の伺い」
「営業車のギアの調子不良の修理伺い」
をはじめ、その8割は社長以外の人が決裁できそうなことや、
単純業務である。

(本当にオレが見なくちゃいけないのか?
もうちょっと自分で考えて動いてもらえないもんだろうか。。。)

あらゆる決済事項が逐一社長に集中し、忙殺される。
社長1人が忙しく見える。

息抜きも必要だし、情報交換もかねて、
交流会や勉強会に参加する。
お酒が入る夜もある。

その結果、家族との時間はますます削られ、
家に帰ると妻は口をとんがらせて言ってくる。

「あなた、もっと子育てのことを一緒に考えてよ」
「あなたはいつも家のことは放ったらかしで」

うっとうしくなり、また帰りが遅くなってくる。
最近は車の中で夜を過ごして、着替えのためだけに家に帰り、
またすぐに会社に行く生活。

(オレには安住の場はないのか・・・)

缶ビール片手に、寂しさを噛み締める瞬間であった。

 

【その3】今日も朝からお詫びの電話。ノホホン社員の尻拭いに日が暮れる日々

朝、事務所に入るや否や「社長!」と呼び止められた。
ふり返るとアシスタントが引きつった表情で受話器を持ってきた。

「社長、電話です。得意先のA社ですが、かなり怒っています」

深呼吸を一回して、受話器を受け取った。

「はい、電話を代わりました・・・」

そして、1分後、私は顔から血の気が引いていくのを感じた。

当社の得意先に、A社とB社がある。
共に同じソフト開発会社であり、お互いにライバル関係にもある。

そして、完成したA社の極秘商品の納品が、
A社ではなく、なんとB社に届いていたのだ!

当然ながら、A社のトップシークレットが
B社に知られることになる。当社の信頼は丸つぶれだ。

また、B社はそれを当社から間違って届いたことを
どう思うだろう?

当社の対応に対する信頼を失墜させたに違いない。

「この案件の担当は誰だ?」

「はい、B君です。今日は休みをとっています」
(またあいつか!)

私は頭を抱えた。

A社へのお詫びと共に、B社にも早急な対応をしなければならない。

情報保護が当たり前の今、
「お客様の情報の扱いには気をつけろ」とあれほど言ってきたのに・・・。

今日はこの対応で1日潰れることになりそうだ。
新規開拓に向けて動くはずだった今日の予定は、すべてキャンセルだ。

肩の力がガクンと落ちつつ、受話器に手を伸ばす1日の始まりだった。

 

【その4】ノホホン上司にイラだつ部下。ヤル気のあるバリバリ社員が気がつけばノホホン社員の仲間入り

前の会社でトップセールスを誇り、鳴り物入りで入ってきたC君。
それが入社後半年たった今、いつの間にか低い数字でお茶を濁している。

気になったので、昼食に誘い、本音を聞いてみた。
10分後、彼は正直に打ち明けた。

「私の上司のDさんに、これまでいくつも提案してきましたが、
すべて聞き流されてきました。何の反応もありません。
これ以上頑張っても無駄だとわかりましたので、
やる気がなくなっていました」

上司のDは、これまで何度も叱り飛ばしているが、
全然変わっていない。

新人が自分の立場を脅かすと考えてわざと無視しているんだろうか。
それとも、本当に無関心なんだろうか。

このままでは、ノホホン社員が増殖し続けてしまうのでは・・・。

 

【その5】動けば動くほどコストばかり増やしていくノホホン社員。頼むから、もう動かないでくれ!

新しい受注がたてこんできた。
このままでは手が回らない。
E君にも担当をつけるしかない。

これまでに何度も失敗しているE君に任せるのは
非常に気が引けるが、ぜいたくは言っていられない。

ちょっとボリュームは大きいけど、
これまで何度も経験した仕事だし、大丈夫だろう。

数日後、社長室の扉をおずおずとあけるE君。
不安げな顔をしている。
嫌な予感は的中した。

「社長、すみません。C商事さんのパンフレット、
差し込む写真の場所が間違っていました」

「どうするんだ!?」

「印刷しなおさないといけないようです」

「バカヤロー!だから、あれだけ注意して進めるように
いったじゃないか!一体、いくらの損害になると思っているんだ!」

「・・・すみません・・・。」

恐縮しきって、虫の声のようになっているE君を見て、

「お前の給料の半年分がこのミスで吹っ飛ぶんだぞ!」

と言いたい気持ちをグッとこらえつつ、頭を冷静にして言った。

「とにかく、急いで手直しを進めなさい」

(あぁ、やっぱりアイツに任せるんじゃなかった。
「手馴れた仕事だが、ボリュームが大きいから気をつけてやるように」
とあれほど念押しをしたのに・・・)

5分後。血圧が上がりっぱなしで収まりそうにない。

「一服するか・・・。」

軽く深呼吸をして、頭を冷やすべく喫煙所にいくと、
ノホホン社員E君が同僚とカラカラ笑っていた。

私のこめかみの血管は破裂寸前になった。

**************************************

典型的な「ノホホン社員を抱えている会社」の
代表的なケースを5つご紹介してきました。

あなたの会社はいかがでしょうか。

この記事の最後に、
「社員がノホホンとしている本当の理由」を3つ、列挙します。

自社に当てはまるものはあるでしょうか?

 

社員がノホホンとしている本当の理由

【その1】 食べていければ十分、難しいことは誰かがなんとかしてくれる
【その2】 自分の夢や目的が見い出せないので、やらされ感になっている
【その3】 全体が見えていないので、今の状況がよくわからず言動がズレている

この続きは、次の記事でお伝えします。

 

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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