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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

内製化か外注化かどちらが正解か、その考え方。院内ラボをつくって技工士を雇うのは、正解か?

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2020.10.15 執筆者:和仁 達也

今まで外注に出していた仕事を、内製化するとき、
どう考えれば良いのか?

歯科医院を題材に、その考え方のプロセスを紹介します。

加藤院長は、技工物を外注から内製化することについて
悩んでいた。

ホワイト歯科は、開業以来10年間、
技工物をずっと複数の技工所に外注で任せてきた。

医院の次の10年を見据えたときに、
「技工物のクオリティ・アップ」が重要課題の1つとして
持ちあがった。

そこで、主として依頼している技工士の鈴木に、
次のように持ちかけようか、と加藤院長は考えていた。

「ウチの院内にラボを併設して、社員としてさらに本腰を入れて
一緒にやっていかないか?

他の医院の技工物ももちろん請けてもらっていいが、
基本ウチをメインにして欲しい。

もちろん、生活が安定するよう、給料として一定の報酬もお支払いしたい」

彼との関係性を考えれば、おそらく了承してくれるだろう。

しかし、当然ながら固定費を抱えることによるリスクもある。
この先、固定費負担がのしかかったときに、
「やっぱり、別々にやっておけばよかった」
となるのは避けたい。

そんな中、医院のすぐ隣に10坪のテナントが空いた。

あまりの絶妙なタイミングに、背中を押された気分になった
加藤院長は、さらに現実味を帯びたそのプランについて、
連日考え続けた。

(これまで技工物は外注で任せていた。
これなら変動費なので、売上が大きいときは技工料も
大きくなるが、売上が小さければ技工料も小さく済むので、
リスクをかかえずにやれる気楽さがあった。

しかし、技工士を雇うとなれば年間400万円の報酬と、
その他の付随する経費が年間100~200万円は発生するだろう。
それ以外に院内ラボの初期投資で400~600万円くらいはかかる。
これを、どう考えればいいのだろうか?)

キャッシュフローコーチの和仁に電話をし、相談することにした。

キャッシュフローコーチの提案は明快だった。

「事情はわかりました。では加藤院長、
このことを、”経済的効果”と、”非経済的効果”に
分けて考えてみましょうか。

つまり、院内ラボをつくって技工物を内製化することの
経済的効果、すなわち利益アップにつながる要因は何か。

そして、直接的に利益アップなどの数字にはつながらないけど、
質的な改善が見込めるような非経済的効果は何か。

それをすべてリストアップした上で、
予測できるリスクとの比較をしてみるのです」

加藤院長は主旨を理解すると、
まずは経済的効果について考え始めた。

 

<経済的効果>

・今すでに外注で依頼している技工物の
1年あたりの費用は平均いくらか?
→1000万円くらいだ。

・そのうち、技工士を雇ったとして、
その人が対応できるのはいくら分か?
→600~700万円分は彼が担当してくれている。

・技工士を社員として雇用することで発生する固定費を、
内製化することで賄えるか?
→年収400万円に、材料費やその他の経費が
200万円に収まるなら、固定費は600万円。
最低でも収支トントン以上は見込めるだろう。

・初期投資が仮に500万円かかるとして、
その回収を5年以内に終わらせるには?
→年間700~800万円以上の技工物を
彼に任せられるようにする必要がある。
つまり、今より100~200万円ほど
多くやってもらう必要がある。

これは、他の技工士に任せていた難易度の高いケースを
任せられるようにレベルアップしてもらえれば可能だろう。

一方、非経済的効果はどうだろうか。

 

<非経済的効果>

・今は技工所が立地的に医院からかなり離れているため、
よほど難易度が高いケースを除いて、
患者さんの口の中に技工物を合わせるところまで
毎回立ち合うことはできていない。

・その点、院内ラボにすれば、
常に技工士本人がチェックできるので、
技工士のやりがいにもつながり、クオリティアップが
期待できる。

・また、患者さんのお口の中におさまった状態を
逐一確認できれば、技工物の完成度について、
技工士の認識と実際との誤差も最小限で済む。

それらは、患者さんの安心感や信頼にもつながるのではないか。

そもそも当院はこれから自費診療の価値をきちんと
伝えていくので、自費の割合も高まるだろう。

だとしたら、なおのこと、技工物のクオリティアップは
当院にとって最優先課題となる。

「こうやって考えてみると、いくつクリアすべき課題は
ありますが、やはり院内ラボを設置して、技工士の鈴木さんを
社員として迎え入れた方がベターだという確信が増しました」

それを聞いたキャッシュフローコーチはニッコリうなずいて、応えた。

「そうですね。今の院長のお考えを忘れないよう
箇条書きでメモして、他にも重要な点があれば書き加えてください。

そしてそれを見せながら、ご本人の考えを引き出して、
相談されるといいですね」

 

【今回のレッスン】

◎大きなお金の支出が伴う判断は、「経済的効果」と
「非経済的効果」の2つをリストアップして、全体を俯瞰してみる。

◎その上で、やるか・やらないか、をトータルとして判断する。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎外注先に仕事をリーズナブルに依頼する秘訣は、「何に価値を見出してお金を払うのか」を明らかにすること

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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