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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

スタッフとみんなで親睦を深めたい!ただ・・・。慰安旅行の日取りはいつがお得なのか?

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2020.11.15 執筆者:和仁 達也

社員との親睦を深める慰安旅行をやるにしても、
いつ、どのようにやるのか、を間違えると、
逆効果になることもあります。

社員の望みはどこにあるか、また
稼働日が減ることによる経済面の試算も大切。

その思考プロセスを、歯科医院を題材にした
事例ストーリーでご紹介します。

加藤院長は、この1年間のスタッフの頑張りを高く評価していた。

その頑張りに報いるためにも、またスタッフ同士の親睦を深め、
さらに働きやすい職場の空気を醸成するためにも、
まとまった休みをとってスタッフ全員で慰安旅行にいくことを
計画していた。

行き先は、奮発してハワイ。

経済的にも、また休みの確保の面でも、
なかなか自力では行きにくい場所に連れていってあげることで、
スタッフの喜びもひとしおだろう。

日頃の忙しい診療から離れて、南国の風と波の音に心も体も癒し、
リフレッシュできれば、帰国後の仕事にも一層、
エネルギーが湧くに違いない。

問題は、どの日程で予定するかだ。

せっかくの海外旅行なので、4泊6日の日程を確保したいが、
医院の経営を考えると、なるべく診療日を減らしたくない。

1カ月平均20日の診療として、それが減った分だけ、
その月の売上は下がる。

特に、自費は他の診療日に振り分けることができそうだが、
保険診療分は休みの分だけ単純計算で下がることは明らかだ。

一方で、旅費は平日と大型連休時とで、かなり金額が違ってくる。

また、スタッフ目線に立つと、

「せっかくの連休はプライベートな予定を入れたい」

と思う人もいるのではないか。

せっかくスタッフを喜ばせようと思って企画した慰安旅行が、
スタッフの貴重なプライベートな予定の邪魔をするようでは、
いただけない。

そんな訳で、いつが良いとは、一概には言い切れないでいた。

水曜日の診療後に出発すれば、
木曜(休)・金曜・土曜・日曜(休)・月曜という日程なら、
旅行のために3日間の休みを取ることになる。

大型連休なら、場合によってはさほど診療日を
減らさなくてもいける可能性がある。

ただ、スタッフのプライベートな休みを奪うことにならないか、
が若干、懸念される。

そんな話をキャッシュフローコーチの和仁に持ちかけたところ、
主旨を理解したキャッシュフローコーチは
次の質問を加藤院長に投げかけた。

「なるほど、ではまずは論点を”経済効果”に絞ってみましょうか。

平日プランと大型連休プランそれぞれについて、
経済的な差はどうか、を見ていきましょう」

そう言うと、キャッシュフローコーチはホワイトボードに、
スラスラとペンを走らせながら院長に問いかけた。

「今、1カ月の売上平均はいくらですか?保険と自費それぞれで」

「1カ月の診療日数は?」

・月800万円で、うち自費が300万円、保険が500万円。
・1カ月で20日。
・よって、1日あたりの保険収入見込みは、25万円。

そこまで書きとめると、キャッシュフローコーチは話し始めた。

「加藤院長、診療日を1日休みにすると、
これまでの経験上、保険収入はその分減り、
自費収入は別の日でカバーできるということでしたね。

そうすると、平日に3日間の休みをとると、
単純に25万円×3日間=75万円の売上減となります。

これを粗利ベースで見ると、
粗利率80%なので、60万円の粗利減。

これが3日間の休みが増えたときの経済的な機会損失額です。
ここまで大丈夫ですか?」

院長がうなずくのを確認すると、キャッシュフローコーチは続けた。

「そして、大型連休で慰安旅行を設定した場合、
それでも1日は休みをとらなければならないんでしたね。

そうすると、25万円の売上減で、
粗利ベースでは20万円の粗利減です。

つまり、平日か大型連休中か、の
『休診日が増えたことによる経済損失』の差は、
60万円-20万円=40万円ということです。

ところで、旅費は平日と大型連休とでは、
どのくらい違うのでしょうか?」

院長は旅行会社からもらってきたパンフレットを
カバンからガサガサと取り出し、見直しながら答えた。

「えっと、平日なら1人あたり20万円で、
GWやシルバーウィークなどの連休なら30万円です。

つまり、1人あたり10万円の差ですね。
そして、スタッフ数はトータル10人なので、
その差額は合計100万円ですね」

状況が飲み込めると、キャッシュフローコーチは
一つ咳払いをして、言葉を続けた。

「なるほど。それであれば、あえて大型連休に行うのではなく、
平日に開催した方がメリットが大きいのではないでしょうか。

休診による経済損失として40万円のマイナスがありますが、
旅費が10人分で100万円浮くのであれば、
差し引き60万円の”経済効果”的メリットがあります。

さらに、院長が懸念されていたように、
せっかくの大型連休はプライベートで使いたいスタッフも
いるでしょうしね。

それに対して、ふだんの平日をわざわざ休診にして
海外に連れて行ってくれる院長や医院に対して感謝を持ってくれる効果、
さらには、それを数カ月後に控えていることを楽しみに、
日々の診療の励みになる効果を考えれば、
”非経済効果”として大きな価値があるのではないですか」

院長は、漠然と頭の中で思っていたことを、
明快に数字で裏付けされたことで、ほっと安心し、
明日のスタッフミーティングで発表して、
みんなが喜ぶ顔を見るのが、楽しみになった。

 

【今回のレッスン】

◎迷ったことがあるときは、論点を”経済効果”に絞って
検討した後に、”非経済効果”を検討し、その両方を並べて判断する。

◎”経済効果”を比較するときは、入りの違いだけでなく、
出の違いも相殺して、両面で比べることが必要である。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎懇親会、社員旅行をスタッフ教育に利用する。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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