外注先に仕事をリーズナブルに依頼する秘訣は、「何に価値を見出してお金を払うのか」を明らかにすること
2020.08.15 執筆者:和仁 達也キャッシュフロー経営歯科医院生産性向上着眼点
外注先に仕事を依頼する時には、何を基準に考えるでしょうか?
多くの人は価格を先に気にし、
できるだけ安く探す人が多いように感じます。
しかし、価格のみで依頼することには、
実は落とし穴がある場合もあります。
自分が求める価値の基準はどこにあるのか?
この記事では、
価格以外の判断でリーズナブルに依頼する秘訣をお伝えします。
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ホワイト歯科は、開業12年目を迎え、
ここまで順調にやってきた。
患者さんにも支持され、スタッフも気持ちよく
働いてくれて定着率もよく、医院の歯車がうまく
回り始めていることを加藤院長は実感していた。
そんな中、院長は次に取り組むべきこととして、
医院内のリニューアルを検討していた。
院内の風景は毎日のことなので、
働いている者には気がつかないが、先日院長の妻が
来院してきたときに口にしたことがきっかけだった。
「あなた、院内の内装もそろそろきれいにした方が
いいんじゃない?カベは黄ばんでいるし、
塗装がはげていたり、トレーの台もところどころ
壊れたままになっているでしょ?」
そう言われて注意してみると、気になることはいくつもあった。
・ 患者さんへの掲示物を張るボードそのものが、色がはげている。
・ 開業当時は気にならなかったが、今見ると
「いかにも医療機関」という感じで冷たく
温かみに欠けるカベの色づかい。
・ もともとレイアウト上、無理をして設置した
診療器具の収納キャビネットが大き過ぎて、
スタッフの動線を邪魔している。
「12年経って干支が一周することだし、
この機会に内装をリニューアルして気分一新するか!?」
さっそく歯科専門の業者に見積もりを出してみて、驚いた。
院長が想像していた金額よりも、かなり大きかったからだ。
そのことをキャッシュフローコーチの和仁との
定例ミーティングの議題で取り上げた。
一通り話しを聞くと、キャッシュフローコーチは
論点を整理した。
「なるほど、加藤院長の300~400万円で行けるのでは、
という予想に反して、歯科専門のA社の見積もりでは、
500~600万円になりそうだ、ということですね。
別の会社には見積もりを取ってみましたか?」
加藤院長はうなずきながら答えた。
「ええ。歯科専門ではないのですが、
地元の工務店に相談したら、やっぱりわたしの予想に近くて、
400万円くらいだとのことでした。
金額だけで言えば、400万円と600万円では
1.5倍も違うので話にならないのですが、
いろいろと気になることがありまして・・・」
そこでキャッシュフローコーチは、院長にいくつかの
質問をして、歯科専門会社と地元の工務店、
それぞれに発注する場合のメリットとデメリットを整理した。
<歯科専門の業者>
● メリット
・ 数多くの歯科医院の内装工事を手がけているので、
動線や空間づくりにおいて歯科医院ならではの
抑えておくポイントを分かっているので安心感がある。
・ そのため、工事の過程を院長が逐一チェックを
しなくてすむため、ラク。
また、後で後悔するリスクも低いと思われる。
● デメリット
・ 費用が割高である。その価値に見合った金額なのか疑問がある。
<地元の工務店>
● メリット
・ 費用が割安である。
・ 歯科医院は1、2件程度は施工経験がある。
● デメリット
・ 歯科の内装経験が圧倒的に少ないので、
後で「なぜこんなことになる?」と不便な状態に
陥るリスク、不安がある。
・ そうならないために、工事の過程を院長が
逐一チェックして口を出す必要があり、面倒くさい。
ここまで整理して、キャッシュフローコーチは続けた。
「2社の間には、200万円の価格差がありますが、
その価値は、
①歯科医院ならではの動線や業種特性を踏まえた
施工をしてもらえる“安心感”“と、
②それがカタチになることをチェックせず
一任できる院長負担減”の費用、
ということになりますか?」
「うっ・・・、そういうことになりますね・・・。
しかし、そのために200万円も支払う必要があるのか、
疑問に感じます。
イチから建物全体を作る訳じゃないし、
今回はカベや床、キャビネットなど限られた部分だけ
ですからね。
これだったら、何人かの先輩のドクターに相談して、
どこに気をつけておくべきか、をリサーチしておけば、
ある程度のリスク回避はできるようなきがしてきました」
焦点が絞り込まれ、加藤院長がやるべきことが
明確になった様子を見て、キャッシュフローコーチは話をまとめた。
「それがいいですね。
何に価値を見出してお金を払うのか、
について多くの人が無意識です。
今回のように焦点を絞り込むことで、
そこに価値を見出せるのか否かがはっきりします。
その上での判断であれば、どちらを選ぶにしても、
後悔はしませんよね」
【今回のレッスン】
◎判断に迷ったら、メリットとデメリットを整理して、
焦点を絞り込む。
◎それによって、両者の違いや価格差に価値を見出せるのか
否かがはっきりする。
その上での判断であれば、どちらを選ぶにしても、
後悔せずに納得の決断ができる。
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