上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
現状を改善するときは、必ず2つの視点で行う
2021.04.22 執筆者:和仁 達也コミュニケーション着眼点
こちらが意図して行っていても
お客様やスタッフにも伝わることがなければ
意味がありません。
その現状を改善するためには、
何かを変えないといけないのですが、
見るべきポイントが2つあります。
それは実はシンプルなことでもあるのですが、
なかなか気づけない着眼点でもあります。
先日、ある歯科院長からこんな相談がありました。
「受付のそばに患者さんがお会計のときに
手荷物を置いておく、ちょっとした台があるのですが、
先月そこにデンタルXの検査表を置き忘れていく人が
12人もいたんです。
ちゃんと意味があってお渡ししているのに。
忘れていく患者さんにもひと言言いたいし、
それに気づかないウチのスタッフもどうかと思うし。
小さなことかも知れませんが大切なことなので、
どうしたらいいでしょうか?」
このとき、普通の流れでいくと
「受付スタッフに、
『患者さんが置き忘れていかないように注意しなさい』
とアドバイスする」
か、あるいは
「受付スタッフに、
『お帰りの際に検査表を忘れないようにお持ちくださいね』
と必ず一声かけさせる」
などの方法が思いつきます。
これは、スタッフに「行動を変える」よう促す、という視点です。
しかし、もう1つの視点があります。
それをふまえ、わたしは院長に尋ねました。
「先月12人が置き忘れたとのことですが、
昔からずっとそうなんですか?」
すると院長は次のように答えました。
「いえ、1ヶ月前に、お会計のときに鞄をおいておく
スペースがなかったので、気配りとしてその台を設置したんです」
その受付付近の写真を見せてもらうと、
受付のすぐ下にカウンターテーブルのような台が設置されていました。
それを見て、わたしは尋ねました。
「この台を、あと15cm奥に押し込むことはできますか?」
すると、院長はハッとした表情を見せて、笑って返答しました。
「できます!そうすれば、検査表を置くには狭いので、
患者さんが無意識に置くことがなくなって、忘れなくなります。
そうか~、『会計時にちょっと鞄を置けるけど、
検査表をポンと置くには狭いスペース』になるよう、
台を奥に押し込めばいいんですね」
これはもう1つの視点、つまり「環境を変える」という視点です。
スタッフ教育が目的なら冒頭のようにスタッフに促すことも一案です。
でも、単に現状を改善したいのなら、
「環境を変える」手もあります。
これなら、一度変えてしまえば、
後はオートマチックに改善成果が約束されます。
目的にあわせて、この2つの視点を使い分けてみると、
スムーズに改善が進みます。
「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」
▶︎組織の生産性を最大化する“安心安全ポジティブな場づくり”の大切さとは?