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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

歩合給の弊害に注意!どこまでの仕事が「給料」分で、どこからが「歩合給」分か?

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2020.09.15 執筆者:和仁 達也

給料の中には、通常業務に対して支払われる、
いわゆる固定の「給料」と、ある特別な業務の成果に
応じて支払われる「歩合給」があります。

その線引きがあいまいだと、やがて弊害が生じることも。
今回はその事例ストーリーを紹介します。

ホワイト歯科では、通常の報酬とは別に、様々な歩合給が存在する。

たとえば、TBIをやると1人あたりいくらとか、
顕微鏡検査をやるといくら、というように。

それ以外にも、自費診療の一部のメニューが決まると、
その提案をしたスタッフには、金額の数%の歩合給が支払われる。

その歩合給の狙いは、「スタッフの習慣づけのため」であった。

と言うのも、それまでやったことがない新たな取り組みを
定着させるには、「ルールだからやれ」では、
なかなか継続しなかった。

もちろんスタッフも、単にサボりたいとか、
悪意があってやらないわけではない。

それをやることの大切さはスタッフも理解はできる。

しかし、従来の仕事だけでも忙しく、
決して余裕があるわけでもないため、
新たな仕事となると、つい先送りしてしまうのだ。

そこで、それをやることの動機づけの一環として、

「それをやることで医院の収入になることに関しては、
スタッフにも経済的な見返りがある仕組みにしよう」

と加藤院長は考え、歩合給の仕組みを取り入れたのだった。

これがスタッフの行動の後押しとなり、
それまで先送りしていたことも取り組む機運が高まっていた。

そんな中、このところ加藤院長がひっかかることが
目につくようになった。

そこで今月のキャッシュフローコーチとのミーティングでは、
そのことについて話し合うことにした。

「院長が引っかかっているのは、どのあたりですか?」

キャッシュフローコーチの和仁が尋ねると、
院長は自分の考えを整理するように言葉を選びながら答えた。

「これまで歩合給を取り入れたことで、
スタッフが新たな取り組みもスムーズに定着するように
なりました。これはとてもいいことだと思っています。

ところが最近、新しく何かをやろうと言うと、すぐに

『これは歩合がつくんですか?』

と尋ねてくるんです。
これって、何か違うんじゃないかって感じがするんですよね・・・」

キャッシュフローコーチはうなずき、
意図をくみとりながら言葉を返した。

「なるほど、それはつまり、
『歩合がもらえなければ、新たな取り組みはやらない』
みたいに聞こえるってことでしょうか?」

「そうです!
だって、これは新たな取り組みとは言え、
それをやるのは歯科医院として当たり前のことなんです。

なのに、『それをやるから、いくらもらえるの?』
みたいな質問があると、肩の力が抜けるというか、
どっと疲れを感じるんですよね。

なんだか医療人として、わたしのスタッフの育て方が
間違っていたのかな、と・・・」

キャッシュフローコーチは一通り話しを聞くと、論点を整理した。

「つまり、なんでも歩合給でもらえる、と勘違いさせて
しまったのではないか、と感じているのですね。

よくわかりますよ。院長にしてみれば、

『歯科医院で働く者として、やるべきことはやってほしい。
そのために、大前提として、そもそも給料をもらっているのだから』

という思いもあることでしょう」

話を受けて、院長は語気を強めて続けた。

「そうなんです!歩合給を出す理由は、
それを支払うことで、今までになかった
新しい習慣を根付かせるためなんです。

そして、その歩合給の原資は、
それをやることで生まれる新たな収入から分配して、
ちゃんと入りと出のつじつまがあるから支払えるんです。

それがいつの間にか、何をやるにしても、
『歩合給がないと動かない』みたいな空気になるのは、
本末転倒ですよね!

中には、それをやっても保険点数もつかないし、
収入は変わらないことだってあるんですから」

さらに院長はツバを飛ばしながら話を続けた。

「それから、新しい取り組みを始めた当初は、
それが習慣化して慣れるために歩合をつけるのも
アリだと思っていますが、それが定着した後も、
当たり前のように歩合を払い続けるのは、
ちょっと違うと思うんですよ。

あくまで、定着させるための起爆剤として
歩合をつけているのですから、当たり前にやるべきことは、
通常の給料分の仕事としてやってもらうべきだと思うし。

それをちゃんとスタッフにもわからせる必要がありますね」

キャッシュフローコーチはうなずきながら答えた。

「これは、まさに院長が良かれと思って作った報酬が、
いつの間にか”既得権”として”もらって当然”
みたいな空気になった典型例ですね。

これを予防するには、いくつかコツがありますが、
1つはわたしがよくお伝えしている、
『先に言えば説明、後で言えば言い訳』という教訓です。

つまり、新しい歩合の仕組みを提示する際に、
予めスタッフにこう伝えておくんです。

『この仕事に歩合給をつける意図は、
ただでさえ忙しい中に、新しくて慣れない業務を
行うことに早く慣れてもらうための起爆剤です。

ただ、本来は歯科医院としてこれは必ずやらなきゃいけない
ことなので、通常なら歩合を出すことではないのかも知れません。

しかし、当院では、みんなにこの業務を早く当たり前に慣れて欲しいので、
これから3カ月間は1回につき●円の歩合をつけて、励みになるようにします。

ただ、3カ月後にはこれが当たり前になることが
ゴールの”期限付き処置”なので、
歩合は3カ月で終了です。

初めからそこは承知しておいてね』

加藤院長は、そのトークを熱心にメモにとり、顔をあげた。

「わかりました!明日のスタッフミーティングで、さっそく伝えます」

 

【今回のレッスン】

◎歩合給を出すときは、その理由を予め明らかにして、
スタッフと共有しておく。

◎歩合給を出す目的の一例は、それを支払うことで、
今までになかった新しい習慣を根付かせること。
その歩合給の原資は、それをやることで生まれる
新たな収入から分配して、ちゃんと入りと出のつじつまが
あるから支払えることを確認する。

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▶︎「仕事が増えるだけで収入は増えない」という不満を抱かせないための役職(ポジション)と報酬発生のタイミングとは?

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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