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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

将来のために必要なのはわかるけど・・・・。「“万一の備え”はいくら貯めればOKか?」

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2021.08.02 執筆者:和仁 達也

店舗経営では、様々なリスクに遭遇する時もあります。

台風や大雨、地震などの災害だけではなく、
昨今の新型コロナウイルスもあり、いつ運営が止まってしまうか予測できません。

その為、歯科医院だけではなく、多くの会社は、
コロナ以前より万一の備えは必要になっています。

しかし、この万一の備えをする基準が明確ではないので、
実際にはいくら貯めればいいのだろう?と思う院長も多いのではないでしょうか?

そこで、この記事では、「“万一の備え”はいくら貯めればOKか?」
の基準をお伝えしたいと思います。

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加藤院長は、税理士から今期の決算書の報告を受けていた。

「・・・ということで、ホワイト歯科は、十分な利益を出し、
そこから設備投資と返済をした上で、さらにこれだけの
繰越し金を生み出していらっしゃいます。すばらしいですね!」

税理士に評価され、まんざらでもない表情を浮かべたのもつかの間、
加藤院長はかねてから気になっていた質問を口にした。

「ところで先生、せっかくキャッシュフローベースで黒字になり、
翌年に現金を持ち越せたので、医院の万一の備えとして
きちんと貯めていきたいと思うんですが、
当院はいくら貯めればOKでしょうか?

「えっ・・・!?まあ、とりあえずは貯められるだけ
貯めておけば良いのではないでしょうか(汗)」

税理士は予想しない質問に戸惑いながら、苦し紛れに答えた。

それもそのはず、ほとんどの歯科医院で、
現金を十分に貯金できておらず、その目安が存在しないからだ。

手持ちの現金から借金の返済を差し引いたら
マイナスになる医院が大半である。

よって、余剰の現金が手元になるのなら、借金の返済を優先して、
金利負担を減らしたいと考えるケースが多い。

そのため、「いくら貯めればOKか?」と尋ねられても困る、
というのが税理士の本音なのだろう。

院長は翌日のキャッシュフローコーチの和仁との面談で、
その話を再び取り上げることにした。

キャッシュフローコーチは静かに話し始めた。

「加藤院長がおっしゃる『万一の備え』とは、
自然災害や医療事故、その他の思いがけない理由によって、
得られるはずだった収入が得られないとき、
あるいは突発的な支出への備えのことですよね。

仮に院長に『万一に備えて、いくら貯めておけたら安心ですか?』
と尋ねたとしましょう。
果たして、ちゃんと答えられるでしょうか?
そもそも院長は、根拠のある内部留保の目標値を持っているでしょうか?」

加藤院長の言葉に詰まった様子を見て、キャッシュフローコーチは話を続けた。

「答えられなくても大丈夫です。安心してくださいね。
わたしがセミナーなどで質問したときの返答のほとんどが
『う〜ん、、、。(たくさん)あればあっただけ安心かな』
というものです。

そこで、1つの事例を使って、
キャッシュフローコーチ流の考え方を紹介しましょう。

以前、友人が経営する地下1階のバーが、
数年に一度のゲリラ豪雨の被害で床上浸水に見舞われた
ことがありました。商品から備品やソファに至るまで
大ダメージを受け、1ヶ月近く営業停止です。

これはオーナーにとっては大変なことです。

『1ヶ月営業停止』ということは、当然ながら
1ヶ月分の売上がゼロになることを意味します。

しかし固定費は発生するのです。家賃も発生するし、
リース代もいつも通り支払うわけです。

また、オーナーもスタッフも生活があるから
給料ゼロというわけにはいきません。

つまり、固定費は丸々1ヶ月分、支払わなければならないのです。
しかも、それだけじゃありません。
1ヶ月分の借入金の返済もすることになります。

このような万一の事態で、
1ヶ月分の売上がゼロになったとしても、もし手元に
『1ヶ月分の固定費プラス1ヶ月分の返済分の貯金』
があれば、何とかしのげます。

仮にそれが無くて銀行などから調達できなければ、
たちまち資金繰りがショートしてしまうわけです。

ですから、うちの医院は
『1ヶ月間、売上がゼロでも資金繰りが回るよう、
“1ヶ月分の固定費プラス1ヶ月分の返済額分の貯金”を貯えます』
と考えるなら、これを基準にします。イメージ、わかりますか?」

加藤院長はうなずきながら、尋ね返した。

「はい、そういうことならわかります。
ちなみに1カ月分が必要になるってことでしょうか?」

「いえ、たまたま1ヶ月分と言っていますが、
別に2ヶ月でも良いし半月でもOKです。
その判断を院長がすればいいだけですからね。

冒頭のように
『万一に備えて、いくら貯めておけたら安心ですか?』
と考えるのと、一方で、お金のブロックパズルを一緒に見ながら
『万一に備えて、何ヶ月分の固定費プラス返済分の貯金
があれば、安心ですか?』
と考えるのと、どちらが決めやすいでしょうか?」

「それは、圧倒的に後者の方が根拠を持って決められる感じがします」

キャッシュフローコーチは我が意を得たり、という表情でうなずいた。

「このように、『院長が自分なりの根拠を持って答えやすい
質問の仕方をする』ことも、外部の専門家であるキャッシュフローコーチの
重要な役割の1つですからね。

そして、内部留保という点では、
この『万一の備え』に加えて、
『将来の投資資金』も貯えておく必要があります。

たとえば、3年後にチェアを増設する、とか、
高額な設備を購入したり増改築を予定しているのであれば、
前もってその予算を計画的に積み立てておけば、
過剰な借金で苦しむことも避けられますからね」

加藤院長とキャッシュフローコーチは、
具体的な長期ビジョンをもとに、
『万一の備え』と『将来の投資資金』をいくらずつ貯めていくか
を話し合い、プランに書き加えていった。

 

【今回のレッスン】

◎『万一に備えて、いくら貯めておけたら安心ですか?』と考えるよりも、
お金のブロックパズルを一緒に見ながら
『万一に備えて、何ヶ月分の固定費プラス返済分の貯金があれば、
安心ですか?』と考える方が、イメージしやすい。

◎ 内部留保という点では、この『万一の備え』に加えて、
『将来の投資資金』も貯えておく必要がある。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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