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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

経営者とスタッフの立場の違いからくる危機感のズレの解消法。お金のブロックパズルで情報量を一致させるアプローチとは?

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2021.08.15 執筆者:和仁 達也

経営する側とスタッフでは仕事に対する価値観は大きく異なります。

その理由は、経営者は「経営」という視点から多角的に
物事を見ているのですが、スタッフは現場からの視点での価値判断となります。

特に危機感を感じている部分には経営者とスタッフ間では
大きくズレが生じていることが多く、この見え方の違いが
大きなすれ違いとなり不満となってしまうことが多いです。

そこで、この記事では、目から鱗!お金のブロックパズルを使った、
経営者とスタッフの立場の違いからくる危機感のズレの解消法をお伝えいたします。

————————————————————–

このところ、ホワイト歯科では、院長と衛生士長の意見が
揃わないことが問題になっていた。

ありがたいことにたくさんの患者さんに支持されて
忙しくしているのだが、現場のスタッフは、
「忙しいからスタッフを採用してください。診療が回りません」
と言う。

しかし、加藤院長は首を縦には振らなかった。

「今入れると、人件費が過多になるのが怖いから、
まだ入れられない。何とかパートスタッフを雇うなどして、
今の社員で回してほしい」

というのが言い分だった。

この院長とスタッフの間に衛生士長がいて、
この衛生士長が板挟みになっていた。

スタッフからは

「人を入れて欲しい。忙しくて回らない。
この間も人が辞めたじゃないですか。なぜ補充しないんですか」

と不満が噴出していた。一方で院長は、
スタッフの要求をこう突き放していた。

「いや、今はむしろ医院を筋肉体質にするチャンス。
ドクターの技術的にもまだまだ改善の余地があるし、
スタッフの段取りや動きにも無駄が山ほどある。

人を採用するにしても、もっと筋肉体質にしてからでないと、
どんどん固定費が膨れ上がってしまう。

だから人が1人減った今が、むしろ踏ん張りどころ。
だから何とか頑張ろう」

その両者の間を衛生士長が行ったり来たりするのだった。

この時に、院長の希望は、経営幹部である衛生士長には
院長の意向を汲み取って欲しい。

ところが現実は、衛生士長はスタッフと接している
時間の方が長いから、スタッフの意見に取り込まれてしまうのだ。

そしていつの間にか衛生士長はスタッフの代弁者みたいになり、
院長に「やっぱり人を入れてください」という話になる。

しかし、院長としては

「君にはもう少し経営感覚を持って判断して欲しいんだけどな」と

いう愚痴になって、キャッシュフローコーチの和仁の耳に届くのだった。

そこで、キャッシュフローコーチは院長に次の提案をもちかけた。

「こういう時は、お金のブロックパズルを使って、
情報量を揃えた上で話をするとスムーズです。

院長も衛生士長も、そしてスタッフも、
みんな医院を良くしたい気持ちは同じでしょう。

患者さんに喜ばれる仕事がしたいのも一緒でしょう。

ところが、『立場が違う』ので、
見えている情報量が異なるわけです。

情報量が異なるから判断も当然異なる。

その情報量を一致させることが出来たら、
少し状況が変わりそうです。

そこで、お金のブロックパズルを見せながら、
このような対話をしてみてはどうでしょうか?」

*   *   *   *   *

院長
「衛生士長、今、ウチの粗利と固定費を考えたら、
月々の利益が50万円で、目標利益の半分も到達していない状態なんだ。

なぜかと言うと、労働分配率がすごく高くて70%を超えていて、
要するに粗利に対して人件費が過剰なんだ。

その他の固定費は、すでにこれ以上削れないぐらい
工夫した上での話だから、

あとは人件費を削るか、
あるいは今の人件費でもっと粗利を増やして利益をつくるか、
どちらかしないと資金繰りがまわらないんだ。

なぜかと言うと、年間500万円の利益に対して、
そこから支払う借金の返済が年間1000万円もあるから、
現状は半分しか返せない。

なので、他の銀行から借りては返す自転車創業になっているんだ。

世の中の会社の7割以上が赤字だから、黒字であるだけまだマシ
なんだが、このままでは、常に資金繰りに追われる経営になってしまう。

その最大の原因は生産性が低いからだ。

そして社員が減って人件費が下がった今こそ、
粗利と人件費のバランスを正常化するチャンスなんだ。

ここは人員増加に頼らずに、工夫して仕事が回るように
一緒に知恵を絞ってもらえないだろうか?」

*   *   *   *   *

「ここで注意すべき点があります。
ここで院長がアオり過ぎてもダメです。

アオり過ぎるというのは、『ウチの医院は厳しいんだ』と
あまり言い過ぎると、

『そんなに厳しいなら、この医院、ヤバいんじゃないか!?』

と過剰に不安になって、この衛生士長が退職してしまう
恐れもありますからね。

なので、『いかに今ウチが危機感を思ってやるべき時なのか』
を伝えるために、単に『厳しいから』という言葉だけでは
正しく伝わらないのです。

ところが多くの院長は、

『衛生士長、今ウチは厳しいんだ。わかるだろ!?
簡単に人を入れられないんだよ』

で済ませようとするのです。

そうではなくて、このようにお金のブロックパズルに
数字を入れて話をしてみましょう」

*   *   *   *   *

院長
「今、ウチの労働分配率が70%を超えているのを、
せめて65%まで持っていきたい。

そのためには今いるメンバーで続けるなら、
売上を◯百万円、増やす必要がある。

もし人を1人補充したら、さらに新たな売上をつくらなければならない。

あるいは、近々出産で退職予定のスタッフ2人が
辞めた時に補充せずにいけば、自然減で労働分配率が改善される。

それで仕事が回る状態を作れたなら、
ちゃんと利益を出して返済できて経営を健全化できる。

選択肢は3つある。

①人を採用して、仕事がラクに回るようにするか?
 (ただその場合は、増員した人件費をまかなうための
 売上をさらに増やさなければならず、本質的な解決にはならない)

②それとも現状の人員で採算がとれるよう生産性を高める工夫をするか?

③あるいは、放置してこのまま資金繰りに追われる日々を続けるか?

 衛生士長が院長の立場だったら、どうする?」

*   *   *   *   *

「このような会話ができます。

このように、院内で起こる問題の多くは「情報量の不一致」が原因です。

特に院長とスタッフの間で起こるのは
「経営数字の情報量の不一致」で起こっています。

だからこそ、「経営数字の情報量の不一致」を一致させるために、
言葉や数字だけではなくて「図」と「面積」で伝えるのです。

いかがでしょうか?」

加藤院長は大きくうなずきながら、答えた。

「なるほど、確かにこれなら、現場のスタッフ、
ましてや衛生士長やリーダー格のドクターにも
直感的に伝わります。

お金のブロックパズルはこうやって使うと、
情報共有にも使えるんですね」

キャッシュフローコーチは笑顔で返した。

「はい、情報量の不一致を解消し、危機感のズレを解消する
ことにも使えるのです。

さっそく次のみーティングでこれをもとに伝えてみましょう。
わたしからもバッチリ、フォローしますからね」

 

【今回のレッスン】

◎院内で起こる問題の多くは「情報量の不一致」が原因である。
◎特に院長とスタッフの間で起こるコミュニケーション・ギャップは「経営数字の情報量の不一致」が原因で起こっている。「経営数字の情報量の不一致」を一致させるために、言葉や数字だけではなくて、「図」と「面積」で伝えると伝わりやすい。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎社員の危機意識を高める為に社長の危機感を伝えるには?

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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