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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

コンサルタントの上手な活用法。「経営全体の最適化」を追求しよう。

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2021.09.15 執筆者:和仁 達也

コンサルタントに頼めば売上や事業の成長が見込める
と考えている人は多く、もちろん自分が専門分野ではないことは、

その先を知っている専門家にお願いした方がいいのですが、
依頼先のコンサルタントを上手に使えずに目の前の課題に取り掛かる
だけで望んだ成果に直結しない場合があります。

コンサルタントの上手な活用の仕方は、
見るべき視点を変えてお願いすることです。

そこで、この記事では、コンサルタント上手な活用事例
をお伝えしたいと思います。
————————————————-

休診日の夜、加藤院長は大学時代に親しくしていた
後輩の田中院長を行きつけの小料理屋に誘って、
半年ぶりの交友を温めていた。

お互いの近況を話す中で、話題は、
外部の専門家の活用方法について及んだところで、
田中院長が口火を切った。

「今年から経営面を充実させようと、
コンサルタントにお願いをしたんですよ。

ただ、私も初めての体験なので、どうお願いしていいのか
よくわからず戸惑っているんですよね・・・」

田中院長が依頼したのは、マーケティング専門の
コンサルタントで、具体的には
「インプラントの受注を増やすための指導をして欲しい」
ということだった。

インプラントは1本あたり40万円くらいする。
ちなみに田中歯科医院の患者単価は、保険診療の場合で約5千円。

1人に対して30分で治療して1人5千円。
それに対してインプラントの場合、1本契約したら40万円、
3本まとめてとなると100万円を超えるので、収益としては非常に大きい。

もちろん難易度の高い治療なので、誰でもできることではなく、
その分希少性がある。

よって、このインプラント治療は収益に大きくつながるのだが、
歯科医院側には、それを欲する人がどこにいるのか、
がわからない。

なので、「インプラントを必要とする人を集めたい」というので
彼に集客のコンサルティングを依頼したわけだった。

ところが、いざコンサルティングが始まると
思わぬ事態につながっていた。

インプラントは目標通りに受注し始めていた。
すると当然その受け皿が必要で、医院長1人では対応できない。
衛生士はじめスタッフの協力が必要になる。

ということは、院長とスタッフの連携や人間関係が
上手くいっていないと、受注してもスムーズに診療が流れない。

それで患者さんを待たせてクレームが殺到。
神経をすり減らしたスタッフが疲弊して退社が続出。
その結果、残ったスタッフに負担が集中し、
結局、売上を減らさないと医院がまわらない、という事態に。

このように、コンサルタントが田中院長の期待に応えて
たくさんの患者さんを医院に送り込んだが故に、
医院内のマネジメントがそれに追いつかず、
スタッフがバタバタ辞めていき、医院の悪評が立ったとしたら、
いったい何のためにコンサルタントを入れたのか、という話になる。

おおよその状況を理解した加藤院長は、うなずきながら静かに言った。

「そこは、部分強化よりも、経営全体の最適化が鍵なのかも。
つまり、マーケティングだけじゃなく、もっと医院全体を俯瞰して
考えた方が良さそうだね。マーケティングに加えて、たとえば
『人間関係のトラブルや患者さんへのフォロー体制づくり、
さらには治療の価値を伝えるツール作りなどに至るまで、
全体を踏まえてサポートしてほしい』
と相談してみたらどうかな?」

加藤院長の提案は、「マーケティング・コンサルタントに
経営数字を軸にしつつ経営全体を俯瞰してアプローチ
してもらう」というものだった。

インプラントは1本入れて40万円と、とても金額の大きな治療
となるからこそ、契約が決まれば大きいが、無ければゼロという、
極端で不安定な収益構造になりやすい。

そこで、常に先が読める「定期収入」をつくること、
そして定期収入の土台の上にインプラントという「随時収入」が
プラスαで加わる形をつくることが重要になる。

その「定期収入」を増やすことの一例が、
「保険診療」から「自費診療」に促し、自費収入の割合を高めること。

保険診療だと患者単価は5千円程度のところ、
自費診療だと使う材料と治療内容によって、3万円や5万円、
10万円と高額(その代わり、品質も見栄えもよく長持ちする)になる。

さらには、「治療」ではなく「予防」で通う仕組みを作ること。
つまり、「痛くなってからから通う」のではなく
「痛くならないために通う」行為を促す。

3ヶ月から6ヶ月に1度来院して、虫歯にならない状態を保つ
処置をする「予防」での来院者数が増えれば、
数ヶ月に1度は確実に来院するという、「リピート客をつくる」ことになる。

さらに、予防が習慣化してお口の健康に高い関心を持つ患者さんは、
結果的に歯ブラシや歯磨き、サプリなどの口腔ケアグッズも買ってくれる。

つまり、「物販収入」もつくれる。

つまり、「予防診療」と「自費診療」という土台で定期収入を確立しつつ、
その上に「インプラント」さらには「物販収入」で随時収入を
構築できたとしたら、より経営が安定するだろう。

そして、それがスタッフにとって無理のないシステムで周り続けるよう、
ミーティングの司会もしてもらって、スタッフの意見も取り入れて
主体性を促しながら進めていく。

「・・・というところまで、マーケティングのコンサルタントに
踏み込んでもらえたら、田中先生は安心して医療に専念
できるんじゃないかな?」

加藤院長は一気に伝えると、手元のビールを一気に喉に流し込んだ。

田中院長は漠然と思っていたことを言葉とイラストにしてもらったことで、
腹落ちしたようだった。

「なるほど、インプラントの集客だけにとどまらず、
この図のように定期収入と随時収入を組み合わせて、
収入を最大化するシナリオを作ればいいんですね。

この全体図を私がイメージせずに、目先の売上に
こだわっていたのが、盲点だった気がします」

加藤院長はこう付け加えた。

「実は私の医院でも長年キャッシュフローコーチに
入ってもらっていてね。

その人はキャッシュフロー経営が強みで、それ以外に
『どうやって全体最適な収益構造を作っていくか』
も一緒に考えてくれるんですよ。

そして、それを実践するのはスタッフなので、
スタッフ教育もあるし、そのためのスタッフ面談や
スタッフミーティングの司会もやってもらっている。

それで、『そのコンサルティングが、売上や利益にどう影響したか?』
まで把握していけば、決して安くないコンサル報酬も、
ちゃんと価値に見合ったものだって気がついたんだよね」

田中院長の悩みは、クリアに整理された。

「マーケティングだけにとどまらない、
『経営全体の最適化を支援するコンサルタント』として、
広い範囲に関わってもらおう」と。

 

【今回のレッスン】

◎ 部分強化で、特定の1つのことだけを引き上げると、
その弊害がどう現れるか、をイメージしておく。
とりわけ、スタッフの負担、患者さんの不利益につながらないだろうか。

◎ 外部の専門家の力を借りるときは、部分強化だけでなく、
経営全体の最適化の視点を持っておく。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎ 歯科医師が失敗しないための、上手な経営コンサルタントの見つけ方

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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