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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

”働き方改革”は、医院に負担を強いるばかり・・・!?「医院がこれから追求すべき理想の働き方とは?」

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2021.11.02 執筆者:和仁 達也

国が “働き方改革”を推進することをはじめとする
世の中の流れに対応することは、経営者として決して
簡単なことではないでしょう。

しかしそれが避けては通れないものであるならば、
それとどう向き合うか、きちんと考えておきたいところ。

今回はそんなきっかけとなるような、
歯科医院における事例ストーリーをお届けします。

*********************************

「有給休暇の100%消化なんてやっていたら、
人件費が高くなり過ぎて、医院経営は成り立たないんじゃないか?」

「残業時間に制約を入れたり、時短を推奨されたりしたら、
医院が回らないですよ」

「このまま労働条件を社員寄りにしていったら、
まるでスタッフのための医院になっちゃうよ」

「政府の“働き方改革”を進めていったら、
まさにそれが加速しちゃうんでしょ?」

昨晩のドクター同士の飲み会で、そんな会話が噴出していた。
それを、ホワイト歯科の加藤院長は、
経営ミーティングでキャッシュフローコーチの和仁に伝えた。

「まあ、愚痴っぽい話にもなっちゃうんですけど、
われわれ歯科院長はこの“働き方改革”的な流れを
どうとらえたらいいんでしょうかね?」

キャッシュフローコーチはひと通り話を聞くと、
院長に共感を示した。

「たしかに。ただでさえ忙しい歯科医院で、
スタッフが有給を積極的に取れるようにしたり、
残業に頼らずの医院を運営するのは、大変ですよね。

診療で8時間を使って、後片付けや資料作成など
診療以外の仕事もこなそうとしたら、どうしても残業するか、
スタッフを増員する必要があるわけですからね。
相当な工夫が必要だと思います」

加藤院長は、深くうなずき、ため息をつきながら
「そうですよね、本当に参りますよ」とこぼした。

キャッシュフローコーチは話を続けた。

「ただ1つ幸いなのは、これはホワイト歯科だけじゃなくて、
すべての歯科医院に平等に求められているってことです。

今、ドクターも衛生士も深刻な人不足の状況ですよね。
しかし、求人がゼロってわけじゃないんですから、
採用できている歯科医院は全国各地にあるはず。

だったら、ホワイト歯科がドクターや衛生士に
選ばれる歯科医院になればいい、とも言えます。

つまり、例えばの話、
『有給消化100%で、残業はなし。夕方5時には帰宅できる。
院長の高度な診療がウリで、仕事を通して
難易度の高い症例を日常的に学べる』
医院があったら、そこで働きたいドクターや衛生士って、
いると思いませんか?」

「それはいるでしょうね。ただ、そんな医院があるんでしょうか?」

加藤院長は、怪訝な顔をして尋ねた。

「はい、実際に存在します。
ということは、やり方はあるってことですよね。

たまたま今はそのやり方がわからなくても、
それを目指して工夫を重ねていけば、優秀なスタッフが集まる
歯科医院をつくることは可能でしょう。

しかし、逆に『それを初めから無理とあきらめてしまえば、
どんどんスタッフの採用は厳しくなる』のが
現状から今後にかけての歯科の雇用動向ではないでしょうか」

加藤院長が一応の納得を示したのを確認して、キャッシュフローコーチは続けた。

「わたしが考えるに、”働き方改革”の本質は、
単純に労働時間を減らすことではなくて、
生産性を高めること。
つまり、人件費に対する粗利の割合を高めることです。

例えば100の人件費をもらっていたら、
スタッフが300の粗利を作るから、医院に利益をもたらすことができる。

それを、310、320、330とさらに上げていけたら、
その人の人件費、つまり給料やボーナスはさらに高くできる。

もちろん、粗利が増えた分をすべて給料やボーナスにする必要はないです。

新しいスタッフの補充に当ててもいいし、
衛生士がやる必要がない清掃業務を切り取って
専門業者に外部委託してもいい。

設備投資をしてスタッフの負担を軽減してもいい。

適正な粗利を得ていれば、そうやって
”生産性高く、働きやすくする”選択肢を増やす
ことができるのです。

その一方で、企業の中には、粗利と人件費が
ちゃんと連動していないところもあります。

企業が利益を蓄積するばかりで、社員に還元しない例もあるから、
国が『粗利の一部はちゃんと社員に還元してあげましょう』
と言っているのですね。

『ある程度の粗利を稼げているのであれば、
ちゃんと休みを与えてスタッフが長く働き続けられるような
環境を整えてください』

『限られた時間の中で、生産性の高い
仕事の仕方をさせてあげてください』

というのが本質ではないでしょうか」

加藤院長はうなずきながら言葉を挟んだ。

「たしかにそうかも。一面だけ見ると、

『残業するな、過剰労働させるな。労働時間を短縮せよ』

という話になってしまうけど、本質はそこだけではなくて、
ちゃんとスタッフが生産性高く仕事ができるように
場を整えて教育してあげて、労働時間を減らしましょう
ってことなんですね?」

キャッシュフローコーチは大きくあいずちをいれながら答えた。

「そうです!医院として、いかにスタッフの生産性が
高まる仕組みをつくるか、そしてスタッフを教育するかが問われています。

そして、医院がそれだけ生産性の高い組織になれば、
当然売上は増えて医院は利益体質になります。
なので、気前よく給料も休みも与えられる。

これをスタッフ目線に置き換えてみると、
生産性の高さを身につけることは全部自分に返ってくるって
理解できれば、やる気のあるスタッフほど、
モチベーションは高まるんじゃないでしょうか?」

人件費だけを見ていたら、
「いかに人件費を減らすか?」にばかり気が取られ、
納得の判断がしにくくなる。

医院に出入りするお金の全体の流れを俯瞰して見てみると、
入りと出のバランスでちゃんと利益が出るのであれば、
「人件費が増えても、粗利がもっと増えればオーケー」という話になる。

「やっぱり、バランスが重要なんですね・・・」加藤院長はつぶやいた。

 

【今回のレッスン】

◎ドクターも衛生士も深刻な人不足の状況だが、求人がゼロというわけではない。
採用できている歯科医院は全国各地にあるのなら、
「ドクターや衛生士に選ばれる歯科医院になる」工夫をしてみよう。

◎”働き方改革”の本質は、単純に労働時間を減らすことではなくて、
生産性を高めること。つまり、人件費に対する粗利の割合を高めること。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎「スタッフの生産性」を高める意外な方法とは?

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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