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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

税理士から説明を受けても、お金の見通しがたたない理由。 「毎月数字を見ているから重要さはわかっている」という錯覚とは?

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2023.05.15 執筆者:和仁 達也

決算書の読み方がわからず、税理士の説明を聞いても、
さっぱり頭に入ってこない、という経営者は少なくありません。

新たな人の採用や設備投資を考える際に、
「会社の財務状態が今どうなっていて、いくらまで使っても良いのか」
などさっぱり判断ができない。そんな状態では精神衛生上も良くないものです。

そんな状況から打破するためのはじめの一歩を
歯科医院の事例ストーリーで紹介します。

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今日は、ホワイト歯科は休診日。
かつて勤務医として働いていたドクターの石井の開業祝いとして、
加藤院長が飲みに誘い出していた。

「悩みがあると言っていたけど、どうしたの?」

加藤院長が尋ねると、石井は答えた。

「先生、実はお金の見通しがつかめていなくて、
常に不安が付きまとっているんです。
税理士も入れてちゃんとお金の流れについても
説明を受けてはいるんですが、何度聞いてもイメージが持てなくて・・・」

詳しく事情を聞いてみると、石井の医院は毎月税理士が来て
1カ月のお金の流れをチェックして報告してくれるとのこと。

その時に言われていることは理解できるので、
特に質問をすることもなくサラッと会話は終了。

しかし、新たな人の採用や設備投資を考える際に、
「今医院の財務状態がどうなっていて、いくらまで使っても良いのか」
などさっぱり判断ができないのだと言う。

「目標とのギャップがどのぐらいあるのか」
「その未達分を埋めるために何をどのレベルで動く必要があるのか」
「そもそも何をどの順番で考えれば良いのか」
が組み立てられず、漠然とした不安が常に付きまとうのだと言う。

事情を理解して加藤院長は、かつての自分を思い出しながら話しかけた。

「その気持ちよくわかるよ。私も開業当初は同じ感じだったからね。
今の君の状況は、ドライブで助手席にしか座っていない人
の気持ちと同じだと思う。これは私のケースだけど、
ドライブで助手席に座っていると、ほとんど道順を覚えられないんだ。
運転席に座ってハンドルを握ってはじめて、こういう道順だったんだと理解する。

それと同じで、
キャッシュフロー計画表の説明をただ受け身で
聞いていても、ほとんど理解はできない。

なので、
『目の前に医院の株主がいることを想定して、その株主に
現状報告をするつもりで、現状と今後の見通しの考察を伝える』
とやると、一気に脳が回転し始めるんだ。

ためしに、私を君の医院の株主だと想定して、
医院の状況がどうなっているかを3分程度で説明してみてよ」

石井は資料を取り出し、言葉を選びながら話し始めた。

「わかりました。えーっと、当院の売上、粗利、利益はこうなっています。
目標に対して15%の未達です。年度末まで残り6ヶ月の
当初の売上目標より2割増で作っていく必要があります。以上です」

石井は気まずそうな顔で加藤院長の顔見た。
加藤院長はうなずきながらフィードバックを伝えた。

「なるほど。今しゃべってみてどんな感じだったかな?」

「うーん、これではざっくりしすぎていて何も伝わらない気がします」

「じゃぁ私だったらどんな話をするかを試しに言ってみようか。
今年の目標に対して、半年が経過した時点で売上、粗利、利益の
達成率は◯◯%です。

6ヶ月後に目標達成するために当初の売上に加えて ◯◯万円の増額が必要です。
そのための行動は、新規患者数を増やすためにこれをして、
既存の患者数を増やすためにはこれをします。

また院長の私が取り組む事はこれで、スタッフに動いてもらうことがこれです。
これらをこのくらいのスピード感で取り組むことによって、
後半の6カ月間で年初の目標達成に向かっていきます。

ちなみに、楽観値と悲観値の話をすると、
後半6カ月間の売上は楽観値でいくら、悲観値でいくらです。

なので、万一の場合を想定して、見込み通りの成果が出なければ、
バックアップ策として次のような手立ても打とうと考えています。

そしてその実行にはスタッフの協力が欠かせないので、
スタッフのモチベーションを維持向上するために次の手立てを打っていきます。

・・・と、例えばこんな感じで説明されたらどうだろうか?」

「なるほど、納得感が全く違いますね。
今の説明ならどんな状況になって、これからどちらに向かおうと
しているのかがよくわかります。具体性が足りなかったこと、
そして話の組み立て方が甘かったことに気がつきました」

加藤院長はにっこり微笑みながら答えた。

「私も開業当初はこんな考え方はできなかったから安心して。
途中からキャッシュフローコーチの和仁さんに入ってもらって、
そこから思考パターンが変わったんだ。

毎月のミーティングの中で、はじめのうちは彼の説明を
ただ一方的に聞いていただけなんだけど、
途中からは逆に私が彼に状況説明をし、今後の対策を
話すよう求められたんだ。

それを続けていくうちに徐々にキャッシュフロー思考回路が
身に付き、今みたいな考え方が自然とできるになった。

受け身で聞いているのと、能動的にアウトプットするのとでは
習得効果が全く違うことに気づいたんだ。

キャッシュフローコーチがいつも口癖のように言っているけど、
アウトプットが先インプットが後、と言うことなんだろうね。

 

【今回のレッスン】

◎医院のお金の流れや、目標対比を考察するコツは、
 「目の前に医院の株主がいることを想定して、その株主に
 現状報告をするつもりで、現状と今後の見通しの考察を伝える」こと。

◎受け身で聞いているのと、能動的にアウトプットするのとでは
習得効果が全く違う。アウトプットすることで、
一気に脳が回転しはじめ、キャッシュフロー思考回路が身につく。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎なぜ院長報酬は医院の利益と区別して管理すべきなのか?

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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