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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

後悔しない保険商品の考え方3つの視点。利益が出て節税を勧められた時の注意点。

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2022.02.15 執筆者:和仁 達也

医院や会社の利益が想定より多く出そうになると、
浮かび上がってくる課題の1つが“節税対策”です。

その手段の1つとして、保険の提案を受ける経営者は少なくありません。

ところが全体像やメリット・デメリットを把握しないまま
なりゆきで買って、あとで後悔する声も聞きます。

そこで今回は、後悔しない保険商品の考え方を紹介します。

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決算を目前に控えた加藤院長は、一人院長室で
数枚の紙の束をペラペラめくりながらつぶやいた。

「う~ん、よくわからないなあ」

それは節税対策を主張する保険商品の提案書だった。

今期、想定以上の利益が見込まれることから、
知人のファイナンシャルプランナーが節税対策として持ちかけてくれたものだ。

要するに、毎月一定額を支払い続けて一定年数を経ると、
支払った保険料よりも大きな金額が手元に入る、
というプランらしい。

それを退職金として受け取るのか、万一の
資金手当てとして使うのか、様々な用途があるとのこと。

そもそも、この保険商品を契約するのか否か?
また契約するとしたら、いくらの保険料と保険金、
また何年後にいくらの解約返戻金を受け取るプランが理想なのか?

何からどう考えていいかがわからず、頭の整理をするため
翌日のキャッシュフローコーチの和仁とのミーティングの議題で扱うことにした。

「まず考えておきたいのは、保険の提案に対するスタンスを決めることです」

キャッシュフローコーチは冒頭に言い切った。

「そもそも保険商品は、万一のときに
生活に支障をきたさないよう保険金が手に入るようにする
”①保障”が本来の目的ですよね。

そしてその副産物として、一定年数を経つと
支払った金額より解約返戻金が多くなって
”②資産運用”を目的とする場合もあります。

また、想定以上の利益が出た場合に
”③節税対策”を目的にして保険に入る人もいるようです。

そこで、まずは院長がもし新たに保険に入るとしたら、
どんな目的で入るのか、そこを明確にしたいところです」

加藤院長は腕組しながら答えた。

「そうですね~。
①保障については、少なくともわたしに万が一のことが
あってもちゃんと借金を完済できることと、
家族が当面の生活を不自由なく送れるようにすることが大切ですよね。
ここは、以前にライフプランを作って、それを元に
保険に入っているので問題ないと思います」

キャッシュフローコーチはうなずきながら、院長に続きを促した。

「②資産運用については、たしかに先々に備えて
退職金の備えをした方がいい気はします。

今は中小企業退職金共済制度など、必要最小限のことしか
やっていないので、これは必要でしょうかね?」

「たしかに、引退時期を見据えて逆算で準備をすることは
大切ですね。そこで大切なのは、何年後にいくらを
退職金で受け取りたいか、を想定して、
そこから逆算で月々の保険料を決めること。

あと、退職金を何に使うのかのライフプランがないケースは、
解約しないで後継者のためにそのまま長期間運用して
医療法人がいざという時のために内部留保にするケースもあります。

使い方に合わせて、多岐に選択肢が取れるよう、
事前にカスタマイズしていくことが大切です。

ただ、それらは当然必要なことなのですが、
もう1つ大切なことがあります」

「え?大切なことって何ですか?」

10年、20年スパンの長期の医院の
資金繰りの見通しを立てることです。

毎月の運転資金からその保険料が差し引かれるので、
資金繰りにある程度余裕がある状況でやらないと、
途中で解約しなくてはならない場合が起こりえるってことです。

たとえば、『支払い期間が15年を超えれば、
支払った保険料より戻ってくる金額が大きい』と思って
契約してみたら、業績悪化で保険料を支払う余裕がなくなり、
辞めたり解約した結果、損が出るということがあり得ますよね。

また、『支払った総額よりも戻ってくる金額が大きいと思ったら、
そこから税金を支払ったら、実は手取りは思ったほど残らない』
なんて可能性もありますよね。

なので、そのリスクを承知の上で、
月額いくらで、何年間の契約にするか、
そして解約返礼時に税引き後でいくら手元に入るのか、
をライフプランナーにちゃんと計算してもらいましょう」

「なるほど、たしかに将来の未知数なところを
どれだけ先読みしておくかで、保険商品の扱いが違ってきますね。
税引き後にどれだけ残るのか、もチェックしなくては」

加藤院長はメモをとりながら、大きくうなずいた。

「それから③節税対策としての保険ですが、
これは『医療法人化した歯科医院』に限られます。

そして、そもそもそれが本当に節税対策になるのか、を
複数年の中長期的な視点で考える必要があります。

要するに、保険料を支払うことで
『今年の経費は増えて利益が圧縮されて税金は減る』けど、
その分『来年の利益がふくらんで、来年の税金が増える』のであれば、
単なる税金の繰り延べでしかないですからね。

もちろん、事業計画上、来年は赤字になる見込みが高いとか、
相応の理由があれば節税効果になる場合もあります。

ただ、目先の税金を減らすことに目を奪われて、
余計な出費をして、資金繰りが苦しくなるなんて
ことがないように、気をつけたいところです」

「なるほど~、いずれにせよ、
税金のことも加味して、目先だけじゃなく長期的に、
トータル的にいくらのメリットがあるか、を
ライフプランナーに提示してもらうこと。

提案を鵜呑みにするのではなく、こちらがちゃんと
主導権を握ることが大切なんですね。

保険商品との向き合い方が、少しわかった気がします」

 

【今回のレッスン】

◎ 経営者が保険商品を活用する視点は主に、①保障、②資産運用、③節税対策の3つ。

◎ 毎月の支払が固定される場合は、10年、20年スパンで長期の資金繰りの見通しを立てておく。

◎ 税金のことも加味して、長期的にトータル的に、いくらのメリットがあるのか、をライフプランナーに提示してもらおう。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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