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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

デジタル化への移行に反対するスタッフに対応する着眼点とは?

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2022.04.15 執筆者:和仁 達也

新しい変化に“条件反射的”に拒否反応するスタッフへの
対応に悩む経営者は多いようです。

しかし、そのやりとりを観察していると、一定のパターンがあり、
対処の方向性が見えてきます。

今日はある歯科医院の事例ストーリーを通して、そのヒントを紹介します。

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加藤院長は、悩みを抱えていた。
それは、画像の管理をはじめとする、長年アナログでやってきた
診療システムを、デジタル化に移行する方法について、である。

毎月恒例の定例ミーティングで、院長は
キャッシュフローコーチの和仁にそのことを持ちかけた。

「大掛かりなシステムの移行は、いろいろと負荷がかかりますからね。
設備投資で大きなお金が必要になるので、
そこも慎重に検証したいところです。
加藤院長のお悩みは、お金の使い方について、ですか?」

キャッシュフローコーチの問いかけに対して、
加藤院長は首を横に振りながら答えた。

「いえ、お金のことは大丈夫だと思うんです。
以前からこのために積み立ててきた資金があるし、
借金の残高もずいぶん減ってきたので、
ある程度は借入する心づもりもありますから。
わたしが気がかりなのは、むしろスタッフのことです」

キャッシュフローコーチは、なるほどと頷きながら言葉を返した。

「つまり、スタッフがそのシステムのデジタル化への移行に
協力的に動いてくれるか、が不安ということでしょうか?」

「ええ、まさにそこです!
特に、ウチの医院は長年働いてくれている、
50代後半のベテランスタッフたちは、いわゆるIT機器に疎くて、
未だにスマホを毛嫌いしてガラケーを握りしめているんですから。

もし彼女たちに、診療システムをデジタル化することを伝えたら、
いろいろ理由をつけて反対するか、最悪の場合、
自分の居場所が無いと見切りをつけて辞める、
と言い出すかも知れません。
まあ、わたしの考え過ぎなのかも知れませんが、
全員が賛成してくれるイメージが描けないんですよね」

このようなケースは、医院のシステムに大きな変化を
伴うタイミングで、よく見かける光景だ。

スタッフが抵抗を示す理由は様々だが、とりわけ
「自分の居場所がなくなる予感」に対して、
敏感に反応するスタッフは一定数いたりする。

キャッシュフローコーチは状況を把握すると、
「デジタル化への移行プランをスタッフに発表する前に
準備しておきたいことがある」旨を院長に伝えた。

「今からやっておきたいことが3つあります。

一つ目は、スタッフが抱きそうな不安や抵抗感をリストアップします。
二つ目は、それをなぜ感じるのかの理由を言語化します。
そして三つ目は、それを軽減もしくは解消する対策を用意することです」

そう伝えると、ホワイトボードに向かって、見出しを書き、
院長に問いかけ、その返答を板書していった。

 

スタッフが抱きそうな不安や抵抗感、その理由、対策

1.変化への抵抗感

●理由
・単純に「変化することへの面倒くささ」がある上に、
「今までこのシステムで問題なくやってこれたのに、
本当にわざわざ変える必要があるのか?」
という疑問があるから。

●対策
・今のままだと近い将来おとずれる不都合やデメリットを言語化しておく。
・他の医院がそれを決断した経緯を事例ストーリーで語れる用意をする。

2.作業の手間が増えて、生産性が落ちる不安

●理由
・かえって手間が増えて、診れる患者数が減り、医院の収益が減るのではないか。
そうなると、日頃から患者数など目標達成のプレッシャーがあるのに、
それがさらに強まり、もっと窮屈になりそう。

●対策
・他院の導入事例を2〜3件ほど用意して、作業時間の変化がどのくらいか、を示す。

3.過去の失敗体験の想起

●理由
・過去に新しいシステムを導入した際に、任されたまま
投げっぱなしで放置され、大変な目にあったことがある。
その時は「自分が足を引っ張っている」という罪悪感にも
かられた。今回も同じ目に合うのは嫌だから。

●対策
・まずは、ざっくりと全体像を見せる。そして、
スタッフに過剰な負担をかけないための、
医院としてのサポート体制を用意して、安心して挑戦できるようにする。

一通り考えが整理されたホワイトボードを眺めながら、
院長は明るい表情で言葉を挟んだ。

「なるほど、漠然とした不安がこうやって書き出すことで、
整理されてスッキリしました。
設備投資というと、お金の不安が先に来て、
このようなスタッフの協力体制をとりつける配慮を
忘れがちなんですよね」

キャッシュフローコーチはその言葉を受けて、
最後に一言付け加えた。

「そうですよね。ここまで先回りして考えておいて、
あとはその上でこちらが想定しない不安要素があれば、
それもスタッフから出してもらいましょう。

何に不安を感じているのかをすべてまな板の上に乗せれば、
あとはどう調理するか、に集中できますからね」

 

【今回のレッスン】

◎ 大型の設備投資においては、お金の不安が先に来て、
スタッフの協力体制をとりつける配慮を忘れがちになることを知っておく。

スタッフが口にしそうな不安は先回りして言語化しておくと、
対策も打ちやすくなるし、余計なブレーキを踏まずに、
全員が安心して前に進める。
具体的には、一つ目は「スタッフが抱きそうな不安や抵抗感は何か」、
二つ目は「それをなぜ感じるのかの理由」、
そして三つ目は「それを軽減もしくは解消する対策」の3つ。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎スタッフへの指示はどうやるか?の前に、なぜやるか?を教える。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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